八級賃金制(読み)はちきゅうちんぎんせい

改訂新版 世界大百科事典 「八級賃金制」の意味・わかりやすい解説

八級賃金制 (はちきゅうちんぎんせい)

中国の賃金体系。労働者の賃金級別は大多数が1級から8級に分けられた賃金等級制度を採る。賃金等級と賃金額は〈技術等級標準〉〈賃金等級表〉〈賃金率〉にもとづいて決定する。技術等級標準は技術知識,実際の操作技能,熟練の程度に応じて産業別に制定する。賃金等級表は賃金等級,賃金等級係数,係数差(%)より構成され(表),賃金等級係数は最低賃率すなわち1級の賃率に対する各等級の比を表し,また各種の熟練程度が異なる労働者の賃金差をも示している。係数差は前の等級賃金との比率を示す。賃金率は単位労働時間で規定された賃金額である。このような賃金制度は1956年に確立された。次に実際の労働者の賃金についてみれば1級が30余元で8級が100余元となりほぼ3倍の格差がある。また等級の分布は3級,4級が最も多いと思われる。ただし新卒の労働者は見習期間があり,小学校卒,初級・高級中学校卒により期間が異なるが,見習い工は1年目16元,2年目18元,3年目21元(状況に応じて額は異なる)を得,見習い工修了後1級となる。見習い工の賃金は都市の生活費の最低限度が15~16元であることを考慮すると,賃金というより生活費に近い。

 しかるに,この制度は1985年に賃金改革が行われ変更された。新賃金体系は,(1)基礎賃金,(2)勤続年数,(3)職務賃金,(4)奨励賃金の4部分からなる。さらに,全人民所有制企業の職員・労働者の年間平均賃金は1952年446元,57年637元,78年644元,96年6280元となっている。なお工業労働者以外の国家機関職員,技術者は別の賃金体系をとる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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