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賃金体系 ちんぎんたいけいwage system

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

賃金体系
ちんぎんたいけい
wage system

賃金がどのような支払い項目 (構成要素) の組合せで成り立っているかを示したもので,日本特有のもの。日本の賃金体系は,一般に基本給 (または本給,本人給) と多種多様な諸手当で構成されており,その特徴は,(1) 賃金項目がきわめて雑多で,またその算定方法が複雑であること,(2) 生活給体系が主流であること,(3) 年功序列型であることである。 1946年に確立した,いわゆる電産型賃金体系は日本賃金体系の代表的なものとして,その後の賃金体系にきわめて大きな影響を及ぼしたが,その後の経済情勢の変化につれて,生活給体系から職務や能率に応じた職務給体系や職能給体系への移行が大きな問題として取上げられている。ただし 1980年代以降は,各企業がそれぞれの工夫によって独自の特徴ある賃金制度を策定してきたため,日本企業に共通する日本的経営としての賃金体系は存在しなくなっている。

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百科事典マイペディアの解説

賃金体系【ちんぎんたいけい】

給与体系,賃金構成とも。賃金支払の基準となる複数の項目の体系で,日本独特のもの。戦後の労働組合の賃金闘争を通じて生まれた言葉である。一般に基本給に各種の手当を付加する形をとるが,前者が比較的低い場合が多い。
→関連項目賃金

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世界大百科事典 第2版の解説

ちんぎんたいけい【賃金体系】

企業内(官公庁等を含む)の個人別従業員の賃金決定の基準および企業内賃金格差のさまざまな分布=企業内賃金構造を総称する用語である。したがって,賃金体系は企業によって千差万別である。 賃金体系をまず支払項目別に整理してみると,大きく〈所定内賃金(基準内賃金)〉と〈所定外賃金(基準外賃金)〉とに分かれる。前者は労働協約労働基準法にもとづく所定労働時間に対応して支払われる賃金部分のことで,後者は所定時間以上労働したときに支払われる部分である。

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大辞林 第三版の解説

ちんぎんたいけい【賃金体系】

個々の労働者の賃金を決定する基準となる、種々の賃金項目の組み合わせ方の総称。賃金決定ルールの複雑なわが国特有の用語。学歴・勤続年数・年齢などによって決定される基本給、およびさまざまな名目による諸手当などよりなる。賃金構成。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

賃金体系
ちんぎんたいけい

個々の労働者の賃金がどのような賃金支払項目の組合せから成り立っているか、各賃金項目はどのような算定方法によるのかを示すもので、給与体系ともいう。賃金支払項目は大別すると、所定労働時間に対する基準内賃金と、超過勤務などに対して支払われる基準外賃金(諸手当)とに分けられる。賃金の大部分は基準内賃金によって構成されており、しかも、その圧倒的部分を基本給が占める。したがって基本給の算定方法が賃金体系の型を規定する。基本給の算定には、年齢、勤続年数、学歴などの属人的要素を中心とするもの(属人給)、職務、能力、勤務成績などの仕事的要素を中心とするもの(仕事給)、それらを総合勘案するもの(総合給)の三つがある。そして、賃金体系は、このうちの一つを採用する単一型体系と、それらを組み合わせて採用する併存型体系の2種類に分類される。ちなみに、基準内賃金には、この基本給以外に勤務手当、生活手当などが含まれる。そして、これらの各構成項目を具体的に金額で示したものが賃金構成である。各賃金支払項目の選定とウェイトづけはそれぞれの企業によって異なり、それに応じて賃金体系も企業ごとに異なった形をとる。
 賃金体系という用語は日本独特のもので、西欧では用いられていない。西欧にもさまざまな付加的給付があるが、通常、賃金とは別のものとして区別されている。これに対して、わが国では、賃金のもとに一括されており、こうした賃金慣行が賃金体系なる用語を生み出す根拠となっている。
 賃金支払項目が増大し、複雑な賃金体系をとり始めたのは、第二次世界大戦中から終戦後にかけての時期である。その背後には、戦時インフレ、終戦後の労働組合による賃上げ要求に対して、基本給は可能な限り据え置き、家族手当などの臨時諸手当の増額・新設によって対応してきた賃金政策があった。これに対し、1946年(昭和21)10月、電産(日本電気産業労働組合)が、理論生計費算定方式を基礎に組み立てた賃金体系(電産型賃金体系)を提起し、以後、広範な普及をみた。この賃金体系は、戦前以来の年功賃金体系を最低生活保障を軸に修正した生活給体系で、資本の恣意(しい)性を極力排除するなど労働者の利益を反映したものであった。しかし1960年代以降、職務給、職能給の導入とともに変質が進み、多様な形態をとりつつしだいに仕事給体系への移行が進んだ。しかし仕事給とリンクした資格制度が実際の運用では年齢・勤続年数など属人的要素に依存してきたこと、賃金改訂にあたって生活へ配慮せざるをえなかったことなどもあって、年功的要素は存続し続けた。1990年代以降、年功制度の本格的な見直しの気運が高まるなかで、賃金においてもこれまでの年功的要素をできるだけ取り除き、職務遂行能力など仕事的要素を徹底させる方向での見直しが進められている。[横山寿一]
『高木督夫・深見謙介著『賃金体系と労働組合』上下(1974、75・労働旬報社) ▽高年齢者雇用開発協会編『高齢化時代に適合した賃金体系モデルに関する調査研究報告書』(1995・高年齢者雇用開発協会)』

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世界大百科事典内の賃金体系の言及

【電産型賃金体系】より

電産の前身,電産協が1946年の産別十月闘争によって獲得した賃金体系のことで,以後約10年間,日本の最も代表的な賃金体系として広く普及した。日本資本主義史上,労働組合の手で作成された唯一の賃金体系であることに歴史的意義がある。…

※「賃金体系」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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