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等級 トウキュウ

デジタル大辞泉の解説

とう‐きゅう〔‐キフ〕【等級】

上下・優劣の順位を表す段階。くらい。階級。「五つの等級に分ける」「等級を付ける」
天体の光度を示す階級。光度が2.512倍になるごとに一等級減少する。→等星
自動車保険の保険料の割引率・割増率を算出するための階級。→ノンフリート等級

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世界大百科事典 第2版の解説

とうきゅう【等級 magnitude】

天文学で星の明るさを表すのに使う物理量の比の表現法の一つ。比の常用対数の2.5倍で,デシベルの1/8である。天体の明るさは,いちばん明るい太陽から現在観測されるもっとも暗いものまで1020倍もあるから,対数を使うのが適している。目に見える星の明るさを1等星から6等星までに分けたのが始まりで,1856年にポグソンN.R.Pogson(1829‐91)が5等の差を100倍,1等でと精密化した。この割合で明るいほうにも暗いほうにも広げてある。

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大辞林 第三版の解説

とうきゅう【等級】

上下の位。優劣の段階。階級。 「出荷する果物に-を付ける」
天体の明るさの段階を表す数値。かつて肉眼でみとめられる最も明るい二〇個ほどの恒星を一等星とし、最も暗い星々を六等星として目分量で定めた。その後5等級の差が光の強さの比で100倍であることに着目し、肉眼で感じる明るさと大差ないものとなるように改めて定量的に等級が定義され、1等級の差では光の強さは約2.512倍違うとした。等級の大きいものほど暗く、明るい星ではゼロから、マイナスの等級となり、小数も使用する。例えば、太陽の等級はマイナス26.74等。視等級。見掛けの等級。 → 絶対等級

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

等級
とうきゅう
magnitude

星の明るさ(光度)を示す階級。もともとはギリシア時代に肉眼で感じる星の明るさを区分するのに用いられたもので、非常に明るい約20個の星を1等星、肉眼でぎりぎりに見える暗い星を6等星とし、全天に見える星の明るさを1~6等星の6階級に分けていた。しかし、天文学の発達とともに、天体の明るさを人間の感覚で見積もるのではなく、客観的な方法で測定する必要が出てきた。天体の明るさとは、天体から地球に対して単位面積あたりに降り注ぐ光(電磁波)の強さに対応している。19世紀になって、この光の強さを定量的に測定できるようになり、1等星の光の強さは6等星のそれのおよそ100倍であることがわかった。そのため、イギリスの天文学者ポグソンNorman R. Pogson(1829―91)は、等級の定義を改めて、5等級の差が光の強さでちょうど100倍に相当するように等級尺度を定めた。そして、全天にあらかじめ等級を定めたいくつかの測光標準星を設けて、それらを基準にして等級のゼロ点を決めるようにした。このようにして決められた等級の数値は一般に整数ではなく小数で表され、非常に明るければ等級は負の値になり、肉眼で見えないほど暗い場合には等級は6よりも大きい数になる。たとえば、シリウスはマイナス1.5等、バーナード星は9.5等である。地上で観測する場合、地球大気の吸収や散乱のために天体からの光は少し弱くなるが、等級はそのような減光を補正したものをいう。
 人間には、外から受ける物理的刺激の強さとそれを受けたときの感覚の大きさとの間には「ウェーバー‐フェヒナーの法則」として知られる関係があり、たとえば、刺激の強さが1、2、4、8、16、…と一定の倍率で増えていくとき、感覚の大きさは1、2、3、4、5、…というように一定の間隔(差)で増えていく。天体の明るさの場合、感覚の大きさが等級の値(明るいものほど値が小さい)、刺激の強さが光の強さにあたる。したがって、5等級の差が光の強さで100倍に相当する等級尺度では、1等級の差は光の強さで「100の5乗根」倍、すなわち約2.512倍に相当する。等級(m)と光の強さ(I)の関係を数式で表すと、m=-2.5 log ICとなり、定数Cの値は標準星の観測からゼロ点を定めることで決まる。熟練した人が眼視観測で測った等級の誤差は0.1等程度であるが、写真(乾板・フィルム)による誤差は0.05等程度、光電管やCCDカメラで測定した等級の誤差は0.005等かそれ以下である。[岡崎 彰]

波長域による等級の種類

現在では、さまざまな受光器やフィルターを組み合わせて、さまざまな波長域で等級を決めることが可能であるが、国際的な統一を図るため、いくつかの波長感度特性を定めた標準測光システムが採用されている。その代表的なものがジョンソンHarold L. Johnson(1921―80)の「UBV測光システム」と、クロンGerald E. KronおよびカズンズAlan Cousins(1903―2001)の「RI測光システム」をあわせたものである。U(紫外)、B(青)、V(実視=黄)、R(赤)、I(赤外)の各等級で、波長0.36~0.79マイクロメートルの範囲をカバーしている。このうち、V等級は肉眼の感度に近い波長特性で測ったもので「実視等級」ともよばれ、眼視観測による等級の代用とされることが多い。前記より長波長側に延長した赤外の測光システムとして、J、K、L、M、Nの各等級があり、波長10マイクロメートルまでカバーしている。かつては写真観測で「写真等級」「写真実視等級」が用いられたこともあったが、現在ではほとんど使われていない。前者は前記のB等級にやや近く、後者はV等級に近い。なお、二つの波長で測った等級の差を「色指数」というが、これは連続光を放つ天体の表面温度を知る手がかりを与える。[岡崎 彰]

放射等級(輻射等級)

電磁波の全波長域にわたって一様に感じる装置を想定して測った等級を「放射等級(輻射(ふくしゃ)等級)」という。ただ現実にはそのような装置は存在しない。それは天体からの電磁波は地球大気の吸収や電離層の反射などのために可視光と赤外線・電波の一部の波長域しか地上まで到達しないので、直接的な測定は実質的に不可能だからである。しかし、理論モデルや大気圏外の観測例などを参考にして、実視等級と色指数などから放射等級を推定できる。放射等級は、天体から1秒間に放たれる放射エネルギーに対応する等級であり、天体の物理的性質を知るうえで重要な量である。[岡崎 彰]

見かけの等級と絶対等級

各天体までの距離はそれぞれ異なるので、地球から観測した天体の明るさは天体自身の実際の明るさを表しているわけではない。その意味で、これまで述べてきた等級のことを詳しくは「見かけの等級」といい、波長域別の等級などと組み合わせて、たとえば「見かけの実視等級」「見かけの放射等級」などと表現する。一方、天体の実際の明るさを比較するためには、どれも同一の距離10パーセク(32.6光年)に置いたときの等級で比べると都合がよい。この等級を「絶対等級」といい、たとえば「絶対実視等級」「絶対放射等級」などと表現する。絶対放射等級は光度を等級の尺度で表したものであり、両者は互いに換算できる。単に等級という場合は、一般には見かけの等級をさす。光源からやってくる光の強さは光源までの距離の2乗に反比例するので、dパーセクの距離にある天体を10パーセクの位置においたとき、光の強さは(d/10)2倍になる。したがって、見かけの等級mと絶対等級Mとの関係式は、Mm+5-5logdとなる。太陽の見かけの実視等級はマイナス26.7等、シリウスはマイナス1.5等であるが、絶対実視等級はそれぞれ4.9等、1.4等なので、実際の明るさではシリウスが太陽よりも3.5等ほど明るい。[岡崎 彰]

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世界大百科事典内の等級の言及

【マグニチュード】より

…一つの地震の全体としての大きさを表す数値。一般にMと略記するが,決定方式によってML,MS,mbのように添字を付けたり,小文字を用いたりして区別することもある。現在使われているマグニチュードはリヒターC.F.Richterによって1935年に提案されたものMLがもととなっているが,その決定法にはいろいろな方式がある。これらの方式は本来は同じ地震に対して同じ値が得られるものとして開発されたはずであるが,実際には方式によってかなりの系統的な差が出る。…

【恒星】より


[恒星の数と分布]
 天の川が微光星の集りであることはG.ガリレイによって初めて望遠鏡で確認された。表2は全天の星の数を明るさの等級別に示したものである。表の中で,実視等級8とあるのは7.5等から8.4等まで四捨五入した値である。…

※「等級」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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