公方御倉(読み)くぼうおくら

山川 日本史小辞典 改訂新版 「公方御倉」の解説

公方御倉
くぼうみくら

御倉奉行・御倉とも。室町幕府および将軍家の収入・支出などの財産管理や,代物(しろもの)・公文書の保管管理を行った土倉。禅住坊・定光坊・正実坊・定泉坊・玉泉坊など,ほとんどは延暦寺山徒の土倉で構成され,籾井(もみい)氏のみは俗人で土倉を営まない将軍家直属の倉であったとみられる。納銭方(のうせんかた)は一般的に公方御倉のなかから選ばれた。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の公方御倉の言及

【御倉】より

…一方,京都市中の有力土倉にも財貨の保管や出納を行わせている。彼らは〈御倉〉とか〈公方(くぼう)御倉〉と呼ばれた。幕府に自前の倉がなかったわけではないが,公家や庶民と同様に土倉も利用していたのである。…

【土倉】より

…幕府は分一銭(ぶいちせん)の納入を徳政令適用の条件とするとともに(分一徳政),土倉役の徴収に当たる納銭方の業務を請負制にし,収入の安定化を図った。土倉の財産管理業務はこのころでも相変わらず広く行われており,財力のある者は合銭(あいぜに)などと称して土倉に出資して利殖を図り,また将軍家の財産管理に当たる〈公方御倉(くぼうおくら)〉が納銭方になる基礎資格のようにみなされることにもなった。【桑山 浩然】。…

【納銭方】より

…15世紀後半から16世紀にかけての納銭方は,酒屋・土倉役の請負者と称してよいであろう。土倉の中には〈公方御倉(くぼうおくら)〉といわれて将軍家の財産管理にあたる者がいたが,公方御倉に指名されることが納銭方になる基礎資格のようになった。このころの納銭方には,定泉坊,定光坊のような法体の有力土倉と,沢村,中西,河村,野州井のような有力酒屋で俗人の者とがいた。…

※「公方御倉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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