代物(読み)しろもの

精選版 日本国語大辞典「代物」の解説

しろ‐もの【代物】

〘名〙
① 売買する品物。金銭に換えることのできる品物。商品。また、金銭に代わる品物。質ぐさ。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※浄瑠璃・伽羅先代萩(1785)一「又金がない時には、質といふ物を置ねばならぬ。〈略〉代物(シロもの)を持て行と」
② (①から転じて、金銭で売買されるもの、また売りものになるものという意から) 遊女。また、年ごろの美しい女。
※浮世草子・世間妾形気(1767)四「祇園か島原へやらば、黄な物たんとに成る代物(シロもの)と」
③ 話や遊びなどのための材料。たね。
※談義本・つれづれ睟か川(1783)五「三絃(さみせん)をかぢる客は人さし指の爪のかけたまで見てくれのしろものにし」
④ 人をばかにしたり、卑しめたりしていう語。あほう。ばかもの。やつ。
※談義本・つれづれ睟か川(1783)一「金銀の威勢を鼻の先へ出して、権柄に詈るほど阿房(シロモノ)とはみゆれ」
⑤ 商品などを売ったり、買ったりするときの代金。転じて、単なる金銭。だいもつ。
※大観本謡曲・桜川(1430頃)「この代物を確かに届け申せと仰せ候程に、これまで持ちて参りて候」
⑥ 話題や問題となっている物事。その評価を問題とするときに用いる。
※小説平家(1965‐67)〈花田清輝〉四「どうやら舎利は、〈略〉ダイヤモンドとえらぶところのないようなシロモノらしいのだ」
⑦ 盗品、男根、女陰などを婉曲にいう語。例のもの。
稽本・楽屋方言(1804)四「ハテあいつがしろものがてうど馬の」

だい‐もつ【代物】

〘名〙
① かわりのもの。代理の品。
※三代格‐一四・大同四年(809)四月三〇日「五位已上進義倉輩、或狎法不進、或僅進代物」 〔日葡辞書(1603‐04)〕
② 代金。代価。しろもの。だいぶつ。
※言継卿記‐大永七年(1527)八月二四日「土佐所へ下絵代物遣候了」
③ 銭(ぜに)
※申楽談儀(1430)補遺「代物、一座、三・二千疋づつなり」

かわり‐もの かはり‥【代物】

〘名〙 代わりとなる品物。代用品。
怪談牡丹燈籠(1884)〈三遊亭円朝〉一二「代り物がなければいかぬと思ひ、〈略〉瓦の不動様を中へ押込み」

だい‐ぶつ【代物】

〘名〙 その品物のかわりの物。代品。代価。しろもの。だいもつ。

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デジタル大辞泉「代物」の解説

しろ‐もの【代物】

売買する品物。商品。
人や物を、価値を認めたり、あるいは卑しめたり皮肉ったりするなど、評価をまじえていう語。「めったにない代物」「とんだ代物をつかまされた」「あれで懲りないなんて、大した代物だ」
《売り物になる意から》遊女。また、年ごろの美しい娘。
「ときに、ここにゃあ―はなしかの」〈滑・膝栗毛・二〉
売り買いしたときの代金。転じて、金銭。だいもつ。
「なに―のことか。面目ないが、懐中にはびた一銭おりない」〈黄・見徳一炊夢〉
[類語]売り物商品売品非売品製品商い物

だい‐もつ【代物】

かわりの品物。
品物の代金。代価。転じて、金銭。
「道具の―はいただきましたが」〈滑・膝栗毛・七〉

だい‐ぶつ【代物】

代わりの品物。代品。
[類語]代わり別物代表代替代替わり代用代理代行身代わり肩代わり代わる代える入れ代わる成り代わる

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世界大百科事典内の代物の言及

【御倉】より

…諸方よりの献上品と思われるこれらの品は,返礼用として利用されるばかりでなく,仏事などの費用として売却されることもあった。これが代物と呼ばれるもので,これも御倉が管理するものであった。幕府と御倉との交渉は文書で行われる。…

※「代物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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