…たとえばすぐれた発明・発見が,夢の中での思考を契機として結実することがありうる。にもかかわらず,伝統的には思考は意識(論理的思考)とほぼ同義に用いられており,初期の思考心理学は意識の過程を自分の意識によって観察する方法(内観法)で,その研究を進めてきた。とりわけ連合主義心理学は,過去の感覚的経験のなごりである心像の組合せによって,思考を説明した。…
…連合心理学の要素主義と,精神内容を研究対象とする点は,1879年世界で初めて心理学実験室をつくったW.M.ブントに引き継がれた。ブントによれば,直接経験としての感覚,意志,感情などの要素を内観法によって把握し,それらの要素が構成されたものとして精神を研究するのが心理学であった。しかし,精神は要素の寄せ集めではなく,要素を総合する能動的な統覚作用をもっている。…
…現在では,人格心理学や臨床心理学などが人間の意識現象を取り上げざるをえなくなるにつれて,内観による意識体験の報告がさまざまの形で心理学の研究対象となっている。また日本独自のものであるが,この内観を心理療法として組織化したものに内観療法(内観法)がある。これは,1930年ころ吉本伊信(いのぶ)が浄土真宗の一派に伝わる求道法を土台にして創始したものである。…
…道教では,身体諸器官には天上の神々の分身である体内神が宿って生命活動を維持統括しており,死は体内神の身体からの離脱によると考えた。そこで,体内神の名字をとなえ,その服色姿形を観想することで体内諸神との交感を果たし,その離脱を防いで不死を実現しようとする内観法が行われた。その代表的経典としては《黄庭内景経》がある。…
※「内観法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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