経験(読み)ケイケン

デジタル大辞泉の解説

けい‐けん【経験】

[名](スル)
実際に見たり、聞いたり、行ったりすること。また、それによって得られた知識や技能など。「経験を積む」「経験が浅い」「いろいろな部署を経験する」
哲学で、感覚や知覚によって直接与えられるもの。
[用法]経験・体験――日常的な事柄については「経験(体験)してみて分かる」「はじめての経験(体験)」などと相通じて用いられる。◇「経験」の方が使われる範囲が広く、「経験を生かす」「人生経験」などと用いる。◇「体験」は、その人の行為や実地での見聞に限定して、「恐ろしい体験」「体験入学」「戦争体験」のように、それだけ印象の強い事柄について用いることが多い。

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大辞林 第三版の解説

けいけん【経験】

( 名 ) スル
直接触れたり、見たり、実際にやってみたりすること。また、そのようにして得た知識や技術。 「はじめての-」 「この痛さは-しなければわからない」 「 -を積む」 「 -が浅い」
実験。 「蒸気の力を-する器具を製せしが/西国立志編 正直
〘哲〙 理念・思考や想像・記憶によってではなく、感覚や知覚によって直接に与えられ体験されるものごと。 〔 (1) 漢籍では「体験、体感」の意。英語 experience の訳語とした。中村正直訳「自由之理」(1872年)にある。 (2) 類義の語に「体験」があるが、「体験」は自分自身の身をもって実際に行う意。それに対して「経験」は自分で実際に見たり聞いたりして知識・技術などとして身につける意〕

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

経験
けいけん

生物体、とくに人間が感覚や内省を通じて得るもの、およびその獲得の過程をいう。体験とほぼ同義だが、体験よりも間接的、公共的、理知的な含みをもつ。より正確な定義はきわめて多様だが、経験の成立の説明(因果発生的定義)は、今日では心理学や大脳生理学その他の諸科学の立場からくだされる。
 しかし、経験は認識や知識の一要因であるから、哲学的にも古来、認識論の根本概念であった。とりわけ近世以降、観察や実験を重視する科学の方法や理論が発展し、認識論が哲学の中心課題となるにつれて、「経験」は活発な議論の的となり、また「経験論」の有力な傾向が生まれた。経験をめぐる認識論の根本問題は、一方では経験が多少とも主観的、相対的であるのに、他方では、経験を一部に含む学問理論などの知識が客観的、必然的、公共的であるという事実をいかに説明するかにあり、次のような諸説に分かれる。
(1)近代理性論や一般に観念論の立場は、知識の確実性の根拠を理性や先験的基準に求めて、経験を知識における消極的契機と考える。
(2)逆に経験論は、経験を全認識の源泉と考えるが、その結果、知識の確実性を疑う懐疑主義、相対主義に陥る危険がある。
(3)カントは認識の起源および所与(しょよ)として経験を不可欠と考えながらも、知識の必然性の根拠を主観の先天的形成に求めて、両者の不可分な結合である現象界を学的理論の領域と考え、理性論、経験論の総合を試みた。
(4)現代実証主義の「感覚与件(よけん)」やプラグマティストのW・ジェームズの「純粋経験」などから明らかなように、現代経験論は、一方で個人的、個別的な所与である経験を理論的極限と考える。そして他方では、学的理論もそこから抽出、構成される記号体系として、経験を超えるものではなく、その必然性も先験的根拠にではなく、経験理解のための仮説、規則、要請などとしての拘束力に求められるべきだと考える。[杖下隆英]

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