化学辞典 第2版 「再配列イオン」の解説
再配列イオン
サイハイレツイオン
rearrangement ion
リアレンジメントイオンともいう.電子衝撃などでイオン化された分子の断片イオンのうち,親分子イオン内部で2か所以上の結合が切断し,それら断片が再配列して結合したとみられるイオン.質量スペクトルではこのイオンに対応するピークを再配列イオンピークまたはr-ピークという.再配列反応は分子の原子配列と関連をもつので,質量分析計による有機化合物の構造解析において重要な知見を与える.単純な化合物のうち,いちじるしい例はイソブタンからのm/e29(C2H5+),アルコール類からのm/e19(H3O+),ジエチルエーテルの最大ピークであるm/e31(CH3O+)などである.これらのイオンは,押出電圧などを変化させ,イオン源内のイオンの滞在時間をいちじるしく短くすると,その相対強度が減少する.スパーク放電イオン化による固体物質の質量スペクトル中には,その固体内に含まれている有機化合物の再配列イオンが非常に多く見いだされる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報