質量分析計や粒子加速器などでイオンを発生させる部分.イオンを発生させるイオン化箱(室)(ionization chamber)のほかに,エネルギー源発生部と発生させたイオンを効率よく送り出すためのレンズ系,加速電極系を含める.イオンを生成するにはそのイオンの使用目的とイオン化される物質により以下に示す種々の方法がある.
(1)電子衝撃,
(2)光イオン化,
(3)放射性同位体から放射されるαまたはβ線,
(4)イオン衝撃,
(5)電界電離,
(6)表面電離法,
(7)各種放電法.
(1)~(5)は主として気体または蒸気に使用されるので,蒸気圧の低い物質をイオン化するためには,たとえばクヌーセンセルのような炉によって加熱し蒸気圧を高くする必要がある.(3)は数十 kPa 程度の気体のイオン化に適する.また,しゃへいを大きくしないため,γ線の放射のない放射性同位体が使われる.(4)はイオン-マイクロプローブ分析のように,固体のイオン化にも使用される.(6)は主として無機塩類などの固体中の同位体比の測定に使用する.(7)の放電法は種々あるが,一般に生成イオンのエネルギー分布が大きく,エネルギー収束機能をもった二重収束質量分析計を使用しなければならないことが多い.放電で多く使用されるのは,固体では真空スパーク放電,気体では磁場中で放電を行わせるデュアプラズマトロンである.いずれの方法も,正イオンも負イオンも生成されるが,イオンの研究には電子衝撃法が有利である.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
7/22 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新