出水罪(読み)しゅっすいざい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「出水罪」の意味・わかりやすい解説

出水罪
しゅっすいざい

水の破壊力を利用して、不特定または多数人の生命、身体、重要な財産に危険を生じさせる罪。1995年(平成7)の刑法一部改正によって、従来の溢水罪(いっすいざい)が出水罪と改められた。出水罪は放火罪とともに公共危険罪典型であり、法定刑も重い。出水罪には、溢水させて、人の住んでいる建造物、汽車、電車、鉱坑炭坑など鉱物採取用の地下設備)を浸害する現住建造物等浸害罪(刑法119条)と、それに記載された以外の物(田畑森林など)を浸害し、これにより公共の危険を現に生じさせる建造物等以外浸害罪(同法120条)とがあり、両罪の過失犯も処罰される(同法123条)。さらに、出水罪に関連して、水害の際、防水用の物を隠匿、損壊その他の方法で水防を妨害する行為は水防妨害罪として処罰される(同法121条)。

[名和鐵郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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