分散力(読み)ブンサンリョク

化学辞典 第2版 「分散力」の解説

分散力
ブンサンリョク
dispersion force

分子間力の一種無極性分子どうしでも分子内の電荷分布が振動する結果として,離れた分子間に引力が発生する.F. London(ロンドン)が量子力学的に解析し,引力ポテンシャルとして次式を示した.

ここで,hプランク定数ν0 はこの分子の特性振動数,αは分極率rは分子間距離である.このポテンシャルは,誘起双極子間の相互作用に相当する.さらに近似を進めれば,誘起双極子-四極子間,四極子どうし間に相当する r-8r-10 の摂動項も得られる.以上の取り扱いは,光の屈折率波長によって異なってくる光の分散の取り扱いと類似しているので,このポテンシャルによって生じる力を分散力という.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android