分類処遇(読み)ぶんるいしょぐう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「分類処遇」の意味・わかりやすい解説

分類処遇
ぶんるいしょぐう

受刑者の特徴を科学的に調査・分類し、それぞれに応じた個別処遇を行う方法。分類制度(classification system)は、科学的行刑(矯正)の基礎をなす制度とされ、第二次世界大戦後、アメリカの例に倣って整備された。入所時に分類センター(川越少年刑務所など全国に8か所)で受刑者の資質や人格特性などを総合的に調査し、級別に分けて施設に収容し、処遇の過程で再調査・再分類を行いながら、警備・教育などの合理化を図った。分類処遇制度は2005年(平成17)・2006年の監獄法(明治41年法律第28号)全面改正に伴い廃止され、かわりに刑事収容施設法(平成17年法律第50号)によって、集団処遇が導入されている。これは、矯正処遇の種類・内容や受刑者の属性・犯罪傾向の進度に基づいた処遇指標により集団編成を行い、矯正処遇等を効果的に実施する制度である。

[須々木主一・小西暁和 2015年11月17日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の分類処遇の言及

【行刑】より

…また人道主義の思潮もあって19世紀末から20世紀にかけて先述の懲罰的苦役は否定され,刑務作業は経済的に意味があり犯人の社会復帰にも役立つべしとする有用作業の原則が確立した。 20世紀には,T.M.オズボーンによる囚人自治制の試みがあり,またカリフォルニアなどの諸州では,積極的に犯人改善を目ざした心理療法や集団療法等の手法が開発され,科学主義を標榜して犯人一人一人の必要に応じた個別処遇を目ざす分類処遇が,それまでの画一的機械的に受刑者の自由領域を広げていって改善釈放につなげる累進制に取って代わる様相を示した。国連による被拘禁者処遇最低基準準則(1957採択)など人権保障の手当てや,施設内処遇から社会内処遇への転換も主張され,高い塀や厳重な施錠といった拘禁確保のための物理的設備を伴わない開放処遇や,施設拘禁とパロールとの中間処遇も発展した。…

※「分類処遇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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