属性(読み)ぞくせい(英語表記)attribute

翻訳|attribute

精選版 日本国語大辞典 「属性」の意味・読み・例文・類語

ぞく‐せい【属性】

〘名〙
事物本質的にもっている性質
※方鑒秘伝集(1840)上(古事類苑・方技七)「今九星体位及び属性を示して、活用妙旨の便とす」
形而上学で、精神実体物質的実体に不可欠なもの。たとえば、デカルトでは、実体に属する延長思惟弁神論では、神に属する無限のたぐい。〔哲学字彙(1881)〕

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デジタル大辞泉 「属性」の意味・読み・例文・類語

ぞく‐せい【属性】

ある事物に属する性質・特徴。「ゴム属性である弾力性
哲学で、事物が本来具有する根本的性質。それなしには実体が考えられないような本質的な性質。
コンピューターで、ファイルのもつ性質。また、表示印刷などの際に設定する特性アトリビュート
[類語]素質資質資性美質特質特性天分能力

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「属性」の意味・わかりやすい解説

属性
ぞくせい
attribute

広義には対象に所属する諸性質を意味する。哲学上の用語としては、事物の基本的な性質、すなわちその性質によって初めてその事物が可能となるような性質(本質)を意味し、偶有性や様態と区別されて使われる。たとえばスコラ哲学では全能や存在のような性質が神の属性とされ、デカルトでは思惟(しい)と延長がおのおの精神および物体という実体の属性とされた。またスピノザは、神が唯一の実体であり、無限の属性をもつとし、そのうちの思惟と延長のみが人間にも認識可能であるとした。

[清水義夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「属性」の意味・わかりやすい解説

属性
ぞくせい
attributum; attribute

存在者の本質的で恒常的な特性をいう。アリストテレスは属性が実体と不可分であるとし,スコラ哲学では全知全能などが神の内的属性とされた。これを継承してデカルトは実体内在性の点で属性を様態や性質と区別し,変化せぬ神には属性しか考えられないとし,精神と物質の属性として思惟と延長をあげた。スピノザでは,属性で人間に知られているのは実体の本質であり,唯一の実体である神の属性は思惟と延長であるとされた。

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改訂新版 世界大百科事典 「属性」の意味・わかりやすい解説

属性 (ぞくせい)

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「属性」の解説

属性

アトリビュート」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の属性の言及

【アレゴリー】より

…その場合,ラテン語の抽象名詞の多くが女性名詞であるため,慣習的に女性の姿で表されることが多い。擬人像はしばしば,概念をより具体的に説明するために,〈属性attribute〉(ないし〈持物〉)と呼ばれる道具を補助手段としてもつ(たとえば,〈運命〉の車輪,〈正義〉の天秤,〈傲慢〉の孔雀など)。属性は慣習的に定められたものもあるが,〈節制〉の場合のように,水とブドウ酒の瓶(激しやすい行動を抑制する)という伝統的な属性に代えて,時計のような時代の推移とともに新しく発明された道具が使われることも注目に値する。…

【概念】より

…しかし,本来の概念は現代の論理からは関係や集合とみなされ,言語としては,述語(記号)や集合記号として表現される。関係については〈……は……より大きい〉〈……は……と……との間にある〉のように2項,3項等,一般に多項関係に加えて,〈人間〉〈犬〉〈桜〉のように単項関係としての〈属性〉あるいは複数の事物の〈共通性質〉が考えられる。属性を特殊例として含む〈関係〉は伝統的に概念の二つの側面として区別されてきたものの一つ,いわゆる〈内包〉に相当し,もう一つの側面である〈外延〉は集合に当たるといえる。…

【西洋哲学】より

…これももともとアリストテレスの〈エネルゲイア〉の概念の根底に形而上学的思考様式が存していたことからの必然的帰結と見られる。
【実体と属性】
 西洋哲学の基本的概念群の一つに〈実体‐属性〉という対概念があるが,これもまたアリストテレス哲学に源を発する。もっとも,通常〈実体〉と訳されているアリストテレスの用語〈ウシアousia〉は,それが〈ある〉〈存在する〉という意味の動詞〈エイナイeinai〉の女性分詞形〈ウサousa〉に由来し,日常語としては〈現に眼前にある不動産・資産〉を意味するということからも知られるように,広く〈存在〉を意味する言葉であり(《形而上学》第7巻第3章),これがsubstantia(下に立つもの=実体)というラテン語に訳されたのは,事物の第一の存在(ウシア)が〈ヒュポケイメノンhypokeimenōn(下に横たわるもの=基体)〉としての存在にあると考えられたからである(《形而上学》同上)。…

※「属性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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