切抜(読み)きりぬき

精選版 日本国語大辞典 「切抜」の意味・読み・例文・類語

きり‐ぬき【切抜】

〘名〙
① 切り開くこと。開鑿(かいさく)すること。
浮世草子・西鶴織留(1694)二「保津川のながれは丹波亀山につづきて、嵯峨まで二里あまりの所、近代切ぬきの早川
一部分を切って抜き取ること。また、切り抜いたもの。
たけくらべ(1895‐96)〈樋口一葉〉五「夫れよと即坐に鋏(はさみ)を借りて女子づれは切抜(キリヌ)きにかかる」
文章などの一部分を抜き出すこと。また、その抜き出したもの。抜粋。
※洒落本・新吾左出放題盲牛(1781)大蔵長竿「関羽は腕に毒矢を受、華陀がりゃう治の南蛮流、ほねを削るその間、碁を囲み居たりしぞと三国志の切ぬきで、衆をはげます軍師の勇気」
④ 劇場で用いる招き看板の一種。人形を切り出して彩色して掲げた。招き。
風俗画報‐一五八号(1898)遊芸門「木戸には『招き』〈『切抜き』ともいひて人形を切抜きにして、両面彩色に仕たる掛看板なり〉」

きり‐ぬ・く【切抜】

[1] 〘他カ五(四)〙
① 一部分を切って抜きとる。切って穴をあける。切り取る。〔文明本節用集(室町中)〕
② 文章などから、部分的に語句を抜き出す。
※浮世草子・傾城色三味線(1701)鄙「破れ三味線才覚しだして、秋篠にひかせ、其身はあそこ爰(ここ)きりぬいて覚へし、文彌ぶしの上るりを語り」
[2] 〘他カ下二〙 ⇒きりぬける(切抜)

きり‐ぬ・ける【切抜】

〘他カ下一〙 きりぬ・く 〘他カ下二〙
① 敵の囲みを切り破って脱出する。敵の中に切り入って、のがれ出る。
義経記(室町中か)八「都に上り、江馬小四郎を引受け、その所をもきりぬけしに」
② のがれがたい苦しい立場、困難な状態などをやっとのことでのがれ出る。
安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉初「お茶屋が気をきかして『ヘイおめしかへ』とはやく切あげたのでその場はきりぬけたが」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android