前年度剰余金(読み)ぜんねんどじょうよきん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「前年度剰余金」の意味・わかりやすい解説

前年度剰余金
ぜんねんどじょうよきん

財政用語。決算上の剰余金と同じ意味に用いられ、決算上の剰余金の生じた年度翌年度からみて、当該決算上の剰余金をいう。毎年の予算において、歳入予算は収入の見積りにすぎないし、歳出予算の一部は、予算に計上されていても支出されないものもあるから、決算を行うと歳入が歳出を上回ることがあり、この差額は剰余金として次年度の歳入に繰り入れられる。剰余金のうち一部は地方交付税の清算などに向けられ、これを差し引いた額の2分の1は公債や借入金の償還財源にあてることとされているが、残りはどの財源に振り向けてもよいことになっている。したがって、ある年度に繰り入れることのできる剰余金の額が前年度より多ければそれだけ財源は豊富になり、逆に少ないとそれだけ苦しい財政状態となる。なお、前年度剰余金とよんではいるが、予算が編成されるのは前年度が終わる前であり、前年度の剰余金額はまだわからないから、実際には前々年度の剰余金が計上され、決算のときに前年度の決算上の剰余金の額となるのである。

[林 正寿]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android