翻訳|surplus
国の会計で、年度末時点で歳入から歳出を差し引いた金額。一般会計の剰余金は半分以上を国債償還に充てることが義務づけられている。特別会計の剰余金は原則として翌年度の特別会計の歳入に繰り入れられるが、必要な場合は一般会計の歳入に繰り入れることができる。2021年度の剰余金は一般会計が約1兆4千億円、特別会計が約11兆4千億円だった。
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株式会社の自己資本の主要な構成要素の一つである。この用語は通常,大別して二つの意味に用いられている。一つは,会社の自己資本を表す純資産額が法定資本としての資本金額を超える部分のすべてをいう場合で,日本の〈企業会計原則〉がとっている用語法である。いま一つは,法務省令としての〈計算書類規則〉がとっている用語法で,会社の純資産額が資本金および法定準備金(資本準備金と利益準備金)の合計額を超える部分をいう場合である(逆に,純資産額が資本金および法定準備金の合計額に不足する場合は,その不足額を〈欠損金〉という)。つまり,両者の用語法の違いは,剰余金のなかに法定準備金を含めるか否かという点にある。企業会計原則は,剰余金の発生源泉の違いに注目して,資本取引から生じた剰余金を〈資本剰余金〉と称し,損益取引から生じた剰余金を〈利益剰余金〉と称して,剰余金を二大別する考え方を強調しているが,そもそも資本取引と損益取引との区別の基準がきわめて不明確であるため,資本剰余金と利益剰余金との区別も明確にならず,結局,企業会計原則が長年にわたって主張してきた剰余金の概念は現行の会計制度のもとでは実践的存在意義を失っている。このため,会計実践上は計算書類規則が規定する剰余金概念がもっぱら用いられている。計算書類規則上の剰余金は,大別して任意積立金と当期未処分利益とから構成されるのが通例であるが,ときに任意積立金が当期未処理損失を超える額が〈剰余金〉として表示されることもある。いずれにせよ,剰余金として表示される自己資本は商法上,原則として株主総会の決議を経れば株式配当金などとして処分することが容認されるのに対して,それ以外の自己資本(資本金と法定準備金)は,商法が規定する特別の目的以外にはいっさい処分してはならない,とされている。
→自己資本
執筆者:杉本 典之
国の一般会計の決算においては,当年度に収入した歳入額から支出済みの歳出額を差し引いたものを歳計剰余金とよび,これから前年度以前の剰余金の使用残額を差し引いたものを新規発生剰余金とよぶ。
執筆者:野口 悠紀雄
保険業法で,相互組織の生命保険会社の純益金のことをいう。
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会計上、貸借対照表の株主資本のうち資本金以外の金額をいう。株主資本の額から資本金を差し引いた金額であり、株主からの払込みの金額と企業内に留保された利益からなる。この株主からの払込みの金額は、資本剰余金とよばれ、留保された利益は利益剰余金とよばれる。企業会計原則は、資本取引と損益取引とを明瞭(めいりょう)に区別し、資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならないとしている(企業会計原則一般原則3)。資本剰余金は資本取引から生じた剰余金であり、利益剰余金は損益取引から生じた剰余金(利益の留保額)であるから、両者を混同すると、企業の財務・損益状況が適正に示されないことになるとしている(企業会計原則注解、注2)。
剰余金の金額は、会社法において規定されており、資産の額と自己資本の帳簿価額の合計額から負債の額、資本金および準備金の額の合計額等を差し引いた金額とされている(会社法446条)。資本剰余金は資本準備金とその他資本剰余金に区分し、利益剰余金は、利益準備金とその他利益剰余金に区分しなければならない(会社計算規則76条4項・5項)。なお、これらの項目は、適当な名称を付した科目に細分して表示することができる。会社法においては、株主が払込みをした金額の2分の1を超えない額は、資本金として計上しないことができるため、この金額を資本準備金として計上しなければならない(会社法445条2項・3項)。また、株式会社が剰余金の配当をする場合に、配当の10分の1の金額を資本準備金または利益準備金として資本金の4分の1に達するまで計上しなければならない(会社法445条4項、会社計算規則22条)。その他利益剰余金は、任意積立金のように株主総会や取締役会の決議に基づき積み立てられるものについては、その内容を示す科目で表示され、それ以外については繰越利益剰余金として表示される。
[中村義人 2022年11月17日]
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…しかしながら決算はすでになされた収入,支出の実績を示すものであるため,国会への提出は単なる報告案件と解されており,したがって国会における審議および議決は収入,支出そのものの効力に影響を及ぼすものではなく,予算の執行を行った内閣の政治的責任を問うものであると解釈されている。(3)決算上の剰余金 予算と決算とは一致することが理想ではあるが,実際には多少の相違を生ずるのが普通である。また,決算上歳入が歳出を下回ることはありえないので,結局ある程度の剰余が生まれることとなる。…
…したがって,企業会計上の資本概念も,今日では資産,負債の各概念とともに,このような考え方のもとで規定されなければならなくなったわけである。 株式会社が作成する貸借対照表の資本の部には,現行の会計諸則のもとでは,大別して,(1)資本金,(2)資本準備金,(3)利益準備金,(4)剰余金,の四つの項目が記載されるのが通例である。これらのうち,(1)の資本金は原則として株主が拠出した株式資本金から構成され,(2)の資本準備金も株主が拠出した株式払込剰余金を主要な構成要素としているので,これら二つの項目は合わせて株主の拠出資本とみても大過ない。…
…会社の純資産額が資本額を超える額のうち,利益として配当することなく会社に留保する金額をいう。積立金または剰余金とも称されるが,準備金は利益の算出に当たり純資産額から控除されるべき計算上の数額にすぎないのであって,特別の具体的な財産をいうのではない。これには,法定準備金と任意準備金がある。…
…実際に配当される額は,次のようになる。純資産額から,資本金,すでに積み立てた資本準備金,利益準備金を差し引いたものは,貸借対照表上,剰余金であるが,この剰余金からすでに積み立てている任意準備金を差し引いたものが当期未処分利益(損失となる場合は当期未処理損失となる)である。当期未処分利益からその期に積み立てなければならない利益準備金を差し引き,また定款あるいは株主総会でその期に積み立てる旨定めた任意準備金を差し引き,さらに役員賞与を差し引いたものが株主に配当される。…
※「剰余金」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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