精選版 日本国語大辞典 「決算」の意味・読み・例文・類語
けっ‐さん【決算】
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
財政上の決算settlement of accountsと、企業会計上の決算closing the booksとがある。
予算過程の最後の段階であり、執行の完了した一会計年度の収入と支出の実績を確定的計数の形で表示する行為である。
国の決算は財務(旧大蔵)大臣によって作成されるが、予算の執行が完結すると、まず各省庁の長がその所掌にかかる歳入決算報告書および歳出決算報告書を作成し、7月31日までに財務大臣に送付する。財務大臣は各省庁から送付された歳入決算報告書に基づいて、歳入予算明細書と同一の区分により、歳入決算明細書を作成し、さらにこの歳入決算明細書および歳出決算報告書に基づいて、歳入歳出の決算を作成しなければならない。歳入歳出の決算は、歳入歳出予算と同一の区分により作成し、歳入および歳出のおのおのについて、次の事柄を明らかにすることが必要である。すなわち、歳入については、(1)歳入予算額、(2)徴収決定済額、(3)収納済歳入額、(4)不納欠損額、(5)収納未済歳入額であり、歳出については、(1)歳出予算額、(2)前年度繰越額、(3)予備費使用額、(4)流用等増減額、(5)支出済歳出額、(6)翌年度繰越額、(7)不用額、である(財政法37条・38条)。
内閣は、歳入歳出決算に、歳入決算明細書、各省庁の歳出決算報告書などを添付して、11月30日までに会計検査院に送付して検査確認を受け、その検査報告とともに翌年度開会の常会において国会に提出する(憲法90条1項、財政法39条・40条)。
政府は予算によって国会から事前の監督を受けたが、決算によって事後的監督を受けることになる。事後的監督というのは、違法または不当な支出がなされたかどうかについて政府に反省をさせるとともに、将来の予算の編成についてもその反省に基づいた監視を受けさせることを意味する。予算は予測であり決算は実績であるから、両者が完全に一致することは期待できないが、違法または不当な支出が行われていないかどうかの検査や審議を通じて、そのような支出を無効とまですることはできないまでも政治的には政府の責任を追及するという効果はある。しかし、国会による政府の統制、監督という効果においては、予算と比べると大幅に劣るといえる。
国会における決算の審議は、予算の場合とは異なり衆議院に先議権があるわけでなく、両院別個に行われ、各院は独自の判断をすることができるのであり、両院の意見を統一する必要はない。また従来からの慣行として、内閣から単なる報告案件として提出し、各議院で個別に意見を決定するにとどまっている。
決算は、国会の審議を経たのち、印刷物その他適当な方法で国民に報告されることになっている(財政法46条)。
地方公共団体の決算は、会計管理者が出納の閉鎖後3か月以内に調製し、証書類その他政令で定める書類とともに地方公共団体の長に提出しなければならない。地方公共団体の長は、これを監査委員の審査に付し、その意見をつけて、次の通常予算を議する会議までに議会の認定に付さなければならない(地方自治法233条)。
[林 正寿]
近代の企業会計は、継続企業の前提(ゴーイング・コンサーン)に基づいて会計に係る整理を実施する。したがって、企業外部の利害関係者(株主、債権者等)は、自身の関係する企業の財政状態や経営成績(業績)を知るためには、人為的にくぎった期間(一般に会計期間という)で会計帳簿を締め切り会計数値をとりまとめてもらわなければならない。企業内部の経営者にしても、逐次実情を知りうるとはいえ、会計の専門職の手による本格的な期間会計情報に関心をもって経営行動をするものである。企業会計では、以上のような要請から、一定期間の会計情報を適正に作成するために、関連する会計帳簿を締め切る手続を実施する。このような一連の行為を決算という。
決算は、企業内部で会計情報を活用するためのものでもあるが、制度的には、外部の利害関係者に対して適時適切に会計報告の責任(アカウンタビリティという)を果たすことを企業に求めるために実施される。商法では、第1編総則、第5章商業帳簿の第19条において、「商人は、その営業のために使用する財産について、(中略)適時に、正確な商業帳簿を作成しなければならない。」としている。会社法では、第2編株式会社、第5章計算等の第2節会計帳簿等で同様の規定を設けている。また、金融商品取引法においては、有価証券の募集・売出しの届出のとき、およびその後定期的に企業内容を開示するとき、決算に基づく財務諸表の開示を規定している。証券市場に上場する企業のこのような開示は、一般的には、1年に1回の本決算の財務諸表が中心となるが、1990年代には半期(中間)決算が、さらに2004年(平成16)には四半期決算が導入され、企業は、3か月に1回、いわゆる決算を実施しなければならなくなっている。
会計帳簿を締め切るという意味をもつ決算の実務は、企業会計においては次のような複式簿記の機構に沿った手順によって実施される。
(1)決算予備手続 試算表の作成による誤謬(ごびゅう)の発見と訂正、実際有高の調査による棚卸表の作成
(2)決算本手続 精算表の作成による決算内容の概括的把握、決算整理事項の確定と記帳、損益勘定や残高勘定の作成・記帳、元帳等における諸勘定および補助簿等の締切り
(3)財務諸表の作成 決算本手続の結果を受けての財務諸表の作成
企業会計の国際化の促進の結果、上場会社の決算は、2000年前後から、公正妥当な会計基準および会計慣行に基づいて詳細でスピーディーな開示(ディスクロージャー)を求められており、会社法に基づく決算公告や金融商品取引法に基づく有価証券報告書(決算短信を含む)は、経済社会において重要な制度として定着している。
[東海幹夫]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
出典 M&A OnlineM&A用語集について 情報
出典 株式公開支援専門会社(株)イーコンサルタント株式公開用語辞典について 情報
出典 (株)シクミカ:運営「会計用語キーワード辞典」会計用語キーワード辞典について 情報
…さらに製造業等においては,製品の製造原価を算定するために原価計算が採用されており,これが原価管理,計画設定,製品価格の計算等にも広く応用されている。
[予算と決算]
会計主体は次の1会計期間(通常1年)の行動計画を貨幣的に表した予算を作成し,これをもって活動目標とする。会計年度が終了したときに会計記録をもとに決算を行い,主体の活動状況と期末における状態とを表す会計報告書を作成する。…
※「決算」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
アデノウイルスの感染により、発熱、のどのはれと痛み、結膜炎の症状を呈する伝染性の病気。感染症予防法の5類感染症の一。学童がプールで感染して集団発生するのでプール熱ともいう。...
11/10 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/26 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典を更新
10/19 デジタル大辞泉を更新
10/19 デジタル大辞泉プラスを更新
10/10 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
9/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新