化学辞典 第2版 「剛性溶媒法」の解説
剛性溶媒法
ゴウセイヨウバイホウ
rigid matrix(solvent) method
液体窒素温度のような低温で極度に粘性を増した固体ガラス状の有機溶媒中に試料を溶解し,これに紫外線などを照射したときに生じる遊離基などの中間体を安定に捕そくし,これを分光的あるいはそのほかの方法で測定する方法をいう.放射線を照射したときに生じる中間体にも同様な方法は適用できるが,光照射の場合と違う点は,光照射では溶媒は光を吸収せずに溶質のみが吸収するのに反し,放射線の場合には大量にある溶媒のほうに大部分のエネルギー吸収が起こり,少量にある溶質のほうのエネルギー吸収はいちじるしく少ないことである.剛性溶媒としては,メチルテトラヒドロフラン,エタノール,3-メタルペンタン,EPA(エーテル5,イソペンタン5,エタノール2の割合の混合物)など種々のものが用いられている.剛性溶媒は低温で透明なガラス状で用いられることが多いが,目的によっては白色多結晶体で用いられたり,温度についても必ずしも低温ではない場合もある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報