剛性溶媒(読み)ゴウセイヨウバイ(英語表記)rigid solvent

デジタル大辞泉 「剛性溶媒」の意味・読み・例文・類語

ごうせい‐ようばい〔ガウセイ‐〕【剛性溶媒】

溶質を安定的に保ち、剛体に近い状態にして種々の測定を行うための溶媒。低温下で極度に粘性の高いガラス状の溶媒が用いられる。剛体溶媒

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「剛性溶媒」の意味・わかりやすい解説

剛性溶媒 (ごうせいようばい)
rigid solvent

溶液物性測定を行うとき,溶媒を剛性状態にして溶質分子の運動を止めて利用することがある。このような特性をもった溶媒を剛性溶媒または剛体溶媒という。不安定で寿命の短い分子を剛性溶媒にとじ込めると,分子は安定になり寿命も長くなって,その光物性,光化学反応,放射線化学反応などの測定が容易になる。代表的な剛性溶媒EPAはジエチルエーテル5,2-メチルブタン(イソペンタン)5,エチルアルコール2の割合で混合したもので,溶媒の英語名の頭文字をとってEPAという。EPAは多くの有機化合物をよく溶かし,液体窒素の温度で安定なガラス状の溶媒となる。その他よく利用する剛性溶媒を表に示す。室温で用いる剛性溶媒としてメタクリル酸メチルに溶質を溶かして重合して利用するものがある。またホウ酸ガラスを利用することもある。溶質分子を特定の方向に配向させてその物性を測定する場合,混晶を利用することがあり,これも剛性溶媒の一種と考えられる。
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android