加島津(読み)かしまのつ

日本歴史地名大系 「加島津」の解説

加島津
かしまのつ

古代、能登郡加島郷に存在したと思われる湊。「延喜式」主税寮諸国運漕雑物功賃条に、加島津から越前敦賀津まで諸国からの雑物を運んだ場合の船賃について記されていることから、能登国の国津として重要な役割を果していたことがわかる。同条によると、加島津から敦賀津までの船賃は石別二束六把・挟杪七〇束・水手三〇束。越前に準じて、挟杪一人・水手四人によって米五〇石が運ばれることになっていた。また「万葉集」巻一七には、天平二〇年(七四八)越中守大伴家持が出挙のため能登を巡行した際詠じた歌を収めるが、その一首に「能登郡の香島の津より発船して、熊来村を指して往く時に作る歌二首」として、「香島より熊来を指して漕ぐ船の楫取る間なく都し思ほゆ」があり、少なくとも八世紀中葉には加島津が機能していたことが知られる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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