加治木氏(読み)かじきうじ

改訂新版 世界大百科事典 「加治木氏」の意味・わかりやすい解説

加治木氏 (かじきうじ)

平安末期~室町末期の大隅国の豪族加治木郷郡司。鎌倉幕府御家人。大蔵姓。1197年(建久8)の図田帳に加治木郷,正宮新御領,公田永用106丁2段半,郡司大蔵吉平妻所知とあり,翌年の大隅国御家人交名に国方として加治木郡司吉平の名がみえる。吉平は親平ともあり,古系図によれば,大蔵氏後家肥喜山女房,流人貴族藤原経平との間に所生の経頼を初代とする。その孫は大隅大掾頼光とあり,親平はその玄孫に当たる。郡司職とともに正八幡宮御馬所検校職を世襲する社司の一人でもあった。鎌倉時代中ごろ,庶流としてそれぞれの所領名を負う木田,別府,吉原氏等を分出。1276年(建治2)の石築地配符案によれば加治木郷に御家人として郡司氏平,木田三郎掾通平,別府二郎長光,(吉原)又二郎俊平の名がみえ,惣庶共同して所役を分担している。南北朝時代,加治木氏は一族相分かれて島津氏久と畠山直顕の争いに参加。政平は吉原,木田氏等庶家とともに直顕方に属し,加治木岩屋城,本城等に拠って活躍。しかしその孫氏平のころ,島津氏与党となる。その後久平の代,1495年(明応4)守護島津忠昌に背き,かえって加治木城を失い,ここに加治木氏による加治木郷支配は終わった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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