ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「化学療法剤」の意味・わかりやすい解説
化学療法剤
かがくりょうほうざい
chemotherapeutic agent
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…化学療法とは,創始者P.エールリヒによれば,化学物質を用いて人体や動物体内に侵入した病原体を殺す原因療法と定義される。そして,そのような物質(化学療法剤)は,人体には無害で病原体にのみ選択的に毒性を発揮するものであり,消毒薬のように,いずれにも有害であるため,体外での使用しかできない薬剤とは根本的に異なる。化学療法はL.パスツールやR.コッホによって確立された病原微生物学の上に発展したものであり,エールリヒの選択的毒性の概念は,彼自身の研究経験である細菌の色素親和性や免疫現象における特異性の問題にそのヒントを得ている。…
…しかし,子どもの横紋筋肉腫,ユーイング腫瘍,ウィルムス腫瘍,妊娠時に発生する悪性絨毛(じゆうもう)上皮腫などには,著しい効果を収めている。 化学療法剤としては,分裂細胞のDNAを傷損するもの(シクロホスファミドなどのアルキル化剤,白金,アドレアマイシンなど),代謝拮抗剤(メトトレキセート,5‐FU,6‐MP,アラ‐Cなど),細胞分裂阻害剤(ビンクリスチン,ビンブラスチンなど),DNA合成阻害剤(アクチノマイシンなど),癌の栄養を阻害する酵素(L‐アスパラギナーゼなど),ホルモン剤(副腎皮質ホルモン,アンドロゲン,エストロゲンなど)など,さまざまな異なった機序のものがある。抗癌剤は,癌の種類により効くものと効かないものがあり,癌の種類をみて選択される。…
※「化学療法剤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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