化学療法剤(読み)かがくりょうほうざい(英語表記)chemotherapeutic agent

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「化学療法剤」の解説

化学療法剤
かがくりょうほうざい
chemotherapeutic agent

抗生物質と同様に抗菌作用を持つ薬剤であるが,微生物由来でなく,純粋に化学合成された薬剤を指す。サルファ剤,キノロン剤などがある。歴史的には,20世紀初頭,原虫類に対しある種の色素の有効性が発見されたことまでさかのぼることができる。その後,抗菌剤としてサルファ剤の全盛時代を迎えたが,ペニシリンの発見とともに,新薬開発焦点は抗生物質に移った。しかし,抗生物質の開発が一段落した現在,化学療法剤,なかでもノルフロキサシン以降に開発されたキノロン剤,いわゆるニューキノロン剤が注目されている。ただ,使用頻度の上昇に伴い耐性菌も登場しつつあるほか,非ステロイド性抗炎症剤との併用でけいれん発作の副作用が報告されているものがある。また,小児,妊婦に対する安全性は確立していないので,投与には慎重を要する。

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世界大百科事典内の化学療法剤の言及

【化学療法】より

…化学療法とは,創始者P.エールリヒによれば,化学物質を用いて人体や動物体内に侵入した病原体を殺す原因療法と定義される。そして,そのような物質(化学療法剤)は,人体には無害で病原体にのみ選択的に毒性を発揮するものであり,消毒薬のように,いずれにも有害であるため,体外での使用しかできない薬剤とは根本的に異なる。化学療法はL.パスツールやR.コッホによって確立された病原微生物学の上に発展したものであり,エールリヒの選択的毒性の概念は,彼自身の研究経験である細菌の色素親和性や免疫現象における特異性の問題にそのヒントを得ている。…

【癌】より

…しかし,子どもの横紋筋肉腫,ユーイング腫瘍,ウィルムス腫瘍,妊娠時に発生する悪性絨毛(じゆうもう)上皮腫などには,著しい効果を収めている。 化学療法剤としては,分裂細胞のDNAを傷損するもの(シクロホスファミドなどのアルキル化剤,白金,アドレアマイシンなど),代謝拮抗剤(メトトレキセート,5‐FU,6‐MP,アラ‐Cなど),細胞分裂阻害剤(ビンクリスチン,ビンブラスチンなど),DNA合成阻害剤(アクチノマイシンなど),癌の栄養を阻害する酵素(L‐アスパラギナーゼなど),ホルモン剤(副腎皮質ホルモン,アンドロゲン,エストロゲンなど)など,さまざまな異なった機序のものがある。抗癌剤は,癌の種類により効くものと効かないものがあり,癌の種類をみて選択される。…

※「化学療法剤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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