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耐性菌 たいせいきんresistant bacteria

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

耐性菌
たいせいきん
resistant bacteria

抗生物質などの抗菌剤に対する抵抗性が著しく高くなった細菌。耐性菌の出現には次の2つの機構があると考えられている。第1は抗菌剤が標的とする細菌の酵素あるいは蛋白質に突然変異が起き,抗菌剤がきかなくなる場合である。第2は細菌が抗菌剤を不活性化する能力を獲得した場合で,β-ラクタム系抗生物質を分解する酵素β-ラクタマーゼを生産するようになった細菌がその好例である。このような薬剤耐性を支配する遺伝子は細菌の染色体上にはなく,独立の遺伝単位であるプラスミド (細胞質にある環状のデオキシリボ核酸 DNA) 上にある場合が多い。プラスミドは接合により細菌から細菌に伝達される性質がある。1つのプラスミド上に複数の抗菌剤に対する耐性遺伝子が乗っている場合があり,これを多剤耐性といい,医療上大きな問題になっている。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

耐性菌

抗菌薬(抗生物質)の使い過ぎや、菌がまだ体に残っているのに服用をやめるなど不適切な使用が原因でできる。複数の薬が効かなくなると多剤耐性菌と呼ばれ、治療の選択肢が限られてくる。MRSAのほかにバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)や多剤耐性緑膿(りょくのう)菌(MDRP)などがあり、院内感染が広がる原因になることでも知られる。

(2016-06-26 朝日新聞 朝刊 3総合)

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百科事典マイペディアの解説

耐性菌【たいせいきん】

細菌のうち,殺菌や増殖抑制の物理的・化学的作用に耐えて増殖できる変異株。一般には抗生物質などの化学療法剤が有効でない病原菌をいう。耐性の機序として,薬剤を不活性化する酵素の産生,薬剤の細菌細胞内への透過性低下などがあげられる。
→関連項目院内感染化学療法感受性検査菌交代症クロラムフェニコール骨髄炎サイクロセリン性病赤痢テトラサイクリンバンコマイシンバンコマイシン耐性腸球菌日和見感染症ブドウ(葡萄)球菌淋菌

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大辞林 第三版の解説

たいせいきん【耐性菌】

抗生物質や薬物に対して強い耐性を獲得した細菌。サルファ剤に対する赤痢菌の類。
物理的影響・バクテリオファージなどに対して感受性の低い菌。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

耐性菌
たいせいきん

同類の細菌に対して有効な薬剤がまったく無効である細菌をいう。抗生物質や代謝阻害剤など細菌に対して発育を阻害したり殺菌する作用をもつ薬剤に抵抗性を示す細菌が発生することがある。これは、遺伝子の突然変異または新しい遺伝子を獲得することによって耐性形質が発現されるわけで、このような遺伝的変化によって生じた菌が耐性菌であり、原株つまり薬剤の有効な菌を感受性菌という。病巣中に存在する多数の感受性菌のうちの1個が突然変異によって耐性を獲得すると、大多数の感受性菌が治療によって死滅するのに反してこの菌が増殖し、表面化するのが耐性菌出現の理由で、この耐性は遺伝するほか、接合、形質導入、形質転換などによって感受性菌に伝達される。すなわち、耐性菌と感受性菌とを試験管内でいっしょに培養すると、容易に感受性菌が耐性菌となる。現在、耐性が問題となっているものは結核菌、赤痢菌、ブドウ球菌などであるが、人の腸内には赤痢菌の耐性伝達を阻止する物質があり、容易には伝達されない。
 感受性菌は治療によってしだいに絶滅され、耐性菌が年々増加しており、とくに多剤耐性菌が増えている。赤痢ではほとんどが多剤耐性赤痢菌によって発病している。治療期間が長い結核などでは、治療中に菌が耐性化することもあるが、最初から耐性菌に感染して発病する場合が多くなっている。したがって、薬剤耐性菌の可能性が多い結核菌、赤痢菌、ブドウ球菌などに起因する疾患の際は、治療開始前に病原菌の薬剤感受性を調べ、有効な薬剤を選んで治療を始める必要がある。近年は結核や赤痢の場合、最初から同効異種の薬剤を少量ずつ、2種あるいは3種併用し、耐性菌の出現を予防しながら、有効な薬剤を調べたり、耐性を検査して耐性菌の出現に備えたりしている。[柳下徳雄]

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世界大百科事典内の耐性菌の言及

【耐性】より

… 一方,人間の作り出した薬剤に対しては,生物は急速に耐性を発達させ,いわゆる薬剤耐性(薬物耐性)の生物ができてくる。抗生物質をはじめ種々の医薬に対する耐性菌の出現,あるいはDDTその他の殺虫剤に対する抵抗性品種のハエ,カ,農業害虫など,その例はきわめて多く,大きな社会問題となっている。【日高 敏隆】
[薬剤耐性]
 抗生物質,化学療法剤,紫外線あるいはバクテリオファージなど,細菌が本来生育を阻害されるはずの要因が存在する環境下でも,細菌が生育を続けるようになることがある。…

※「耐性菌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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