改訂新版 世界大百科事典 「化成処理」の意味・わかりやすい解説
化成処理 (かせいしょり)
化学的または電気化学的処理により,金属表面に非金属の皮膜conversion coatingを沈積させる処理法をいう。皮膜化合物としてはリン酸塩,クロム酸塩,塩基性塩,酸化物,硫化物などがあり,塗装の下地処理,塑性加工のための潤滑,耐食性の向上,表面の化学着色などに利用される。鉄鋼のリン酸塩処理phosphatingは,登録商標としてはパーカライジングとかボンデ処理と通称され,リン酸亜鉛,リン酸鉄の微小結晶をその表面に析出させ皮膜とする処理法である。アルミニウムに対する塗装下地にはリン酸亜鉛処理やリン酸クロム酸の混合処理などが利用されるが,アルミニウム本来のベーマイトAlOOH皮膜を改良利用する技術も盛んである。亜鉛合金やマグネシウム合金には,クロム酸処理が耐食性向上の目的で広く用いられる。銅合金に対しては,屋根用の人工緑青処理,硫化銅系統の黒色処理などが用いられる。
執筆者:増子 昇
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報