出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
マグネシウムは比重がアルミニウムの2/3,鉄の1/4であって,実用材料中最も軽く,軽量化を図るのに適した材料である。しかし,アルミニウムと比較して地金は割高であり,また耐食性に劣り,冷間加工に適さないなどの欠点があり,そのために用途は制限されている。活性な金属であって発火性がある。切削性はきわめてよく,切りくずの発火に注意すれば切削速度を高くすることができる。合金は展伸用と鋳造用に大別される。展伸合金としては,常温での塑性加工は困難であるが,熱間加工は圧延も押出しも可能であり,押出材として少量生産されている。鋳造用としては,とくにダイカスト鋳物としての用途が多い。鋳造性もよく,またダイカストの型である鉄とほとんど反応せず,型の損耗が少ないのが特徴である。合金系は大別して3種あり,Mg-Al合金とMg-Zn合金が常温で使用される鋳造用マグネシウム合金で,Mg-希土類あるいはMg-Th合金は耐熱性がある。用途は主として軽量化をめざす機械部品のほか,鋼構造物の防食用電極(アノード),金属製造での還元剤や脱酸剤などである。また,減衰能が高いことも特徴の一つである。
執筆者:大久保 忠恒
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
マグネシウムを主成分とし,これにアルミニウム,マンガン,ジルコニウム,亜鉛,希土類金属,トリウムなどを単独または複合して添加した合金.マグネシウム合金は大きく分けて鋳造用合金と展伸用合金とがある.前者には,Mg-Al-Zn系,Mg-Mn系,Mg-Zr-Zn系,Mg-Zr-希土類金属系,Mg-Zr-Th系があり,後者には,Mg-Mn系,Mg-Al-Zn系,Mg-Zn-Zr系,Mg-Zn-希土類金属系,Mg-Th系がある.エレクトロン合金は,1909年にドイツで開発されたMg-Al-Zn系またはMg-Mn系の鋳造用合金である.マグノックス(Mg-Al-Be系)およびMg-Zr系合金は発電用原子炉の燃料被覆材として用いられている.マグネシウム合金の引張強さは鋳造のままで約18~20 kg mm-2 で,熱処理すると28 kg mm-2 以上に向上する.マグネシウム合金は軽量(密度1.7~2.0 g cm-3),高い比強度,良好な被削性などの点を利用して,おもに航空機をはじめとして,自動車,電気機器,船舶,光学機械,写真製版,運動用品など各方面に使用されている.マグネシウム合金の材料としての欠点は,マグネシウムの反応性が強いため,空気中で腐食することである.しかし,とくに高純度の地金を使うとかなり耐食性は改善される.また製品に対しては防食処理をほどこしている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
マグネシウムを主体とし、それに他元素を加えた合金。マグネシウムは実用金属中もっとも軽い(比重1.74)ので、これに少量の添加元素を加えて強化した合金が、軽量の構造材料として航空機・宇宙探査機部品、自動車部品、その他高速回転部品、携帯用品などに多量に用いられている。銅合金やアルミニウム合金に比較すれば、その強度はあまり高くはないが、比強度(強さ/比重)で比較すれば、マグネシウム合金は高張力鋼に相当する。マグネシウム合金は鋳造、温間加工、溶接などは容易で、仕上がりが美しいという特徴がある。アルミニウムを添加すると熱処理性が現れ、強さ、硬さを増す。亜鉛は鋳造性を向上させるとともに強さや破断までの伸びを向上させる。これら添加元素を含む合金は、熱処理により純マグネシウムの2~3倍の強さとなる。マグネシウム合金は高温では使用できないが、温間での強度低下を防ぐ目的でジルコニウム、トリウム、セリウムなどを加えることがある。実用マグネシウム合金には、耐食性向上のために微量のマンガンを加えているのが普通である。
[及川 洪]
(徳田昌則 東北大学名誉教授 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
…鋳物としても展伸材としても使用される。マグネシウム合金はアルミニウム合金よりもさらに軽いが,一般的にいって強度,耐食性,加工性でアルミニウム合金には及ばない。ダイカストなどの鋳物として,また押出材としての利用が多い。…
※「マグネシウム合金」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新