日本歴史地名大系 「北海道殖民地撰定報文」の解説
北海道殖民地撰定報文(撰定報文)
ほつかいどうしよくみんちせんていほうぶん
三冊 北海道庁 明治二四年・同三〇年刊
解説 初代道庁長官岩村通俊が将来施設すべき事業として「地理の測量」の次に掲げた「殖民地の撰定」実施の結果である。明治一九―二二年に撰定した全道大原野の農耕・牧畜適地は、合計約九五万ヘクタールに達した。原野ごとに地勢・面積・土性・植物・気候・交通・水利などを調査・記述。調査面積は、(1)直ちに開墾し得る土地三二万六〇〇〇ヘクタール、(2)排水後耕作に適する土地九万一〇〇〇ヘクタール、(3)牧畜適地三八万八〇〇〇ヘクタール、(4)大改良を要する土地一四万二〇〇〇ヘクタール。この初期調査の結果は「北海道殖民地撰定報文 全」(明治二四年、四〇五頁)として刊行。その後明治二九年まで全道小原野の分を撰定し、結果は「北海道殖民地撰定第二報文」(同三〇年、一七七頁)、「同第三報文」(同三〇年、二三頁)として刊行。撰定面積は激減した。各巻に原野ごとの殖民地撰定図等計一〇枚を付して参考とした。撰定された土地には、入地者一戸当り最小面積を五町歩(約五ヘクタール)とした殖民区画をほどこして開墾予定地配分の便をはかり、移民の増加に備えた。初期撰定調査には、以前に道内探検旅行の経験をもつ札幌農学校第一期卒業生内田瀞らがあたった。昭和六一年復刻。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報