十手術(読み)じってじゅつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「十手術」の意味・わかりやすい解説

十手術
じってじゅつ

十手を使った捕手(とりて)の術。十手はもっぱら捕物(とりもの)道具として用いられ、流儀により実手、十当、鉄刀、銻、鉢割などと書き、一般に鉄身に太刀(たち)モギをつけ、柄(え)には紐(ひも)を巻き2、3寸余して輪にし、腕貫(うでぬき)とする型のものが多かったが、木製のもの(手棒、防木(ふせぎ))や鎖(くさり)十手、振り出し十手などが考案された。鉄身の長さは、手の握りから肘(ひじ)までの長さにあわせて、1尺2、3寸(約36~39センチメートル)を定寸とし、敵が刀で斬(き)ってくるのを、これで受けて肘先のほうへ外し、手元に流れてくれば、太刀モギで刀身を受け挟み、敵の身辺につけいって打ち捕らえるのを基本技とした。

[渡邉一郎]

『藤田西湖著『古武道』(『アルプス・シリーズ 第181輯』1961・商工財務研究会)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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