日本大百科全書(ニッポニカ) 「千葉竜卜」の意味・わかりやすい解説
千葉竜卜
ちばりゅうぼく
生没年不詳。江戸中期のいけ花作家。赤穂(あこう)(兵庫県)の人。名を胤綱(たねつな)と号す。1757年(宝暦7)法橋(ほっきょう)に任ぜられ、源氏流を創始し、江戸生花様式成立への先駆的役割をなす。初め大坂においていけ花を教授したが、62年江戸に出て浅草並木の茶屋扇屋でしばしば花展を催し、「生花は法式なくしては床(とこ)飾りとはなりがたし。抛入花(なげいればな)は即興の翫物(がんぶつ)なり」として書院向きの新しいいけ花として源氏流の直伝(じきでん)・普及に努め、江戸に生花流行の端緒を開いた。著書に『源氏活花(いけばな)記』『活花百瓶(ひゃっぺい)図』『生花枝折抄(いけばなしおりしょう)』『百器図解』などがある。
[北條明直]