生花(読み)イケバナ

デジタル大辞泉 「生花」の意味・読み・例文・類語

いけ‐ばな【生(け)花/活け花】

草木の枝・葉・花を切り取り、花器に挿し、形を整えて鑑賞に供すること。また、挿したもの。立花りっか生花せいか自由花など、種々な様式がある。華道挿花そうか
[類語]華道挿花お花フラワーアレンジメント草花生花切り花盛り花押し花造花ドライフラワー花束ブーケ花輪レイ徒花あだばな無駄花初花国花県花名花梅花桜花菊花綿花菜の花落花

せい‐か〔‐クワ〕【生花】

江戸中期に興った生け花の様式。天・地・人の三格の役枝やくえだで基本的に構成し、全体を不等辺三角形「く」形にまとめ、水際1本とする。池坊いけのぼうでは「しょうか」という。
自然の花。造花に対していう。「霊前生花を供える」
[類語]草花生け花切り花盛り花押し花造花ドライフラワー花束ブーケ花輪レイ徒花あだばな無駄花初花国花県花名花梅花桜花菊花綿花菜の花落花

しょう‐か〔シヤウクワ〕【生花】

華道の池坊で、生花せいかのこと。立花りっかを簡略化した小花しょうかであるとして「しょうか」と呼ぶ。

なま‐ばな【生花】

生け花で、自然の花。造花や枯れ枝人工を加えた花などに対していう。

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精選版 日本国語大辞典 「生花」の意味・読み・例文・類語

せい‐か‥クヮ【生花】

  1. 〘 名詞 〙
  2. いけばな。挿花。
    1. [初出の実例]「何となふ・只の眼からも師の生花」(出典:雑俳・塵手水(1822))
  3. ( 造花に対して ) ほんとうの花。自然の花。
    1. [初出の実例]「稲荷祭にて男女とも蔵やしきへ見物に入候間参見候処、生花造り物多く挑灯如昼」(出典:島崎金次郎宛大田南畝書簡‐享和元年(1801)八月一七日)
  4. 手品(てじな)のことをいう。〔風俗画報‐一〇〇号(1895)手品〕

いき‐ばな【生花】

  1. 〘 名詞 〙 自然の花。生命のある花。それを簪(かんざし)にすると、早死するとか親の死目にあえないとかいう俗信がある。
    1. [初出の実例]「今度大本に咲く花は、苦労口惜しの凝まった、神国の実りのいたす生き花であるから」(出典:大本神諭‐火之巻(1920)〈出口ナオ〉明治三六年旧六月四日)

しょう‐かシャウクヮ【生花】

  1. 〘 名詞 〙 華道流派の一つの池坊が、文化年間(一八〇四‐一八)に生花(せいか)を採用する際、他の流派と区別するために用いた呼称。

なま‐ばな【生花】

  1. 〘 名詞 〙 生け花で、自然の花。造花や枯れ枝、人工を加えた花などに対していう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「生花」の意味・わかりやすい解説

生花
せいか

江戸時代に成立したいけ花様式の一つ。当初は「いけはな」といい、ほかに「瓶花」「活花」「挿花」などの字をあてている。池坊(いけのぼう)では立花を略した小花という意味で「しょうか」とよぶ。またさまざまな流儀を生み出しているところから「流儀花」ともいっている。元禄(げんろく)期(1688~1704)を前後として江戸庶民の生活の向上に伴い、いけ花が遊芸として普及したところから、茶の湯の簡素な投入れ花が独立し江戸の抛入花(なげいればな)として流行をみ、やがて床飾りの花としての形式を整えるようになって生花となった。立花より簡略で、しかも一定の法則に基づくので格調をもって仕上がり、また水際を細くすっきりみせる姿が江戸の粋(いき)の美意識にも通うところから、18世紀中ごろから非常な勢いで流行し、さまざまな流派を出現させた。生花は、儒教思想を取り込んだ天地人三才格の花型によって幕府の教化政策とも合致し、後の明治教育にも引き継がれ、古典いけ花の地歩を固めて現在に至る。

[北條明直]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「生花」の意味・わかりやすい解説

生花
せいか

「しょうか,いけばな」ともいう。江戸時代中期に興った立華の跡を継ぐ新様式。形式化した立華からの発展にあたり,立華以前の抛入花追究,研究が行われた。当時はすでに禅宗の時代でなく,「天・地・人 (導くもの,従うもの,和するもの) 」の調和の原理が考えられるときであったから,その原理の3主要部分を構成の基本とする,感覚性を重視した印象的様式が 18世紀中頃に大成した。現在のような完全な三角形ではなかったが,天・地・人によるまとめが行われた。形式は大部分が置花である関係から「立ち生け」とも呼ばれる。生花様式の大成期には多数の流派が一時に現れた。なお江戸時代末期になって,生花流派中の遠州流系,石州流系の大部分が古典的な追究を始め,球型による完全性を求める変化を示した。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「生花」の解説

生花
いけばな

「しょうか」とも。活花・挿花(そうか)とも。草花や樹木を素材に,花器とくみあわせてする表現芸術。室町時代には花材を手桶にいれて座敷飾にしたものを生花と称し,東山時代になると抛入(なげいれ)花も成立した。両者は侘茶(わびちゃ)の花として展開した。江戸中期の享保の改革後,簡略な表現法が求められ,立華(りっか)にかわる座敷飾の花として流行し,多くの流派が生じた。18世紀後半に植物の出生を理論化して,五つの役枝(やくえだ)を有する花形(かぎょう)を創出し,抛入花と区別するようになった。寛政の改革を機に役枝に天地人・序破急のような意味を付与することが形式化され,表現法が変化した。大正期に流行した盛花(もりばな)・投入(なげいれ)も生花の範疇に入るし,昭和30年代には各流派とも新しい生花を制定している。

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普及版 字通 「生花」の読み・字形・画数・意味

【生花】せいか

鮮花。

字通「生」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の生花の言及

【池坊】より

…このころから池坊を離れて新流派を起こそうという気運がつくられていくのである。その気運は,やがて新時代の趣向に添ったいけばなの要求となり,せいか(生花)を唱える流派が起こった。池坊もついには生花を認めるようになるが,生花を立華の小花として〈しょうか〉とよび,現在に至っている。…

【いけばな】より

…富春軒が草体の立花であるとした〈砂之物〉は立花の変形で,かつての前栽の流れをくむものであるが,盤に立てられた横に構成が展開されていく形式のもので,大住院の作品にはこの形式による大作が多い。
[生花(いけはな)と抛入花(なげいれはな)]
 室町期に立花に対して,法式を定めず自由なかたちにいれるものとされていた〈なげいれはな〉は,安土桃山期に茶の湯のいけばな,茶花として千利休によって確かな地位が与えられた。元禄期の町人たちのあいだには,立花とともに茶の湯が流行していた。…

※「生花」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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