化学辞典 第2版 「協力効果」の解説
協力効果(溶媒抽出における)
キョウリョクコウカ
synergistic effect, synergism
協同効果ともいう.液-液抽出系(とくにキレート抽出系)において,目的物を抽出剤単独で抽出するよりも,抽出剤にほかの配位子を添加したほうが,目的物の抽出率が増大する現象.たとえば,リン酸水素ジアルキルとリン酸トリアルキルの混合試薬によるウランの抽出率が,それぞれの試薬を単独に用いて抽出した場合よりも高い.協力効果の機構は完全に明らかにされているわけではないが,キレート抽出系における配位子(たとえば,ピリジン塩基,リン酸アルキルエステル)による協力効果は,付加錯体の生成によるとして説明されている.協力効果を用いれば,抽出率の増加に付随して低濃度試薬による抽出が可能になり,抽出曲線が酸性側へ移動したり,生成錯体が安定化するなどの特徴がある.しかし,すべてのキレート抽出系に協力効果がみられるわけではない.また,抽出率増加の反面,特定目的元素に対する選択性が低下するなどの欠点もある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報