南南問題(読み)なんなんもんだい(英語表記)South‐South Problem

知恵蔵 「南南問題」の解説

南南問題

南の諸国における経済的格差拡大から生じる経済的 ・ 政治的な諸問題総称。1970年代の二度に及ぶ石油危機を経る中で、南の発展途上国は、莫大な石油収入を蓄積した中東などの産油国輸出指向工業化戦略をてことして製造業品の輸出を急増させた東アジア新興工業経済地域(NIES)と、多数の絶対的貧困層を抱えるアフリカ南アジアなどの最貧国とに明確に分化するようになった。南南問題の発生は、今日の南北問題の最大の焦点が、単に南北間の経済的格差のみならず、南の最貧国の発展問題にあることを再認識させている。

(室井義雄 専修大学教授 / 2007年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「南南問題」の意味・わかりやすい解説

南南問題
なんなんもんだい
South-South Problem

南側の「持てる国」と「持たざる国」との間に生じる諸問題。発展途上国の中でも,エネルギーなどの資源保有国と非資源国との間には大きな経済格差が生じ,それが引き起こす数々の問題は石油危機によって顕在化した。これに対処するための新たな枠組みとして南南協力が模索されている。

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旺文社世界史事典 三訂版 「南南問題」の解説

南南問題
なんなんもんだい
South-South Problem

1970年代後半より生じた第三世界内部の経済格差
原油価格の大幅引き上げに成功した産油国や,輸出指向工業化による新興工業経済地域(NIES)の登場は,そのいっぽうで累積債務問題を抱えるラテンアメリカ諸国や各地の最貧国との間に経済格差を生み出した。

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