新興工業経済地域(読み)しんこうこうぎょうけいざいちいき(英語表記)Newly Industrializing Economies; NIES

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

新興工業経済地域
しんこうこうぎょうけいざいちいき
Newly Industrializing Economies; NIES

工業化を進展させ,高い経済成長率を達成し,先進国を目指す発展途上国・地域。ニーズともいう。1979年に経済協力開発機構 OECDの報告書で,第1次石油危機によって世界経済が停滞するなか工業化に成功した大韓民国(韓国),台湾,香港,シンガポール,ブラジル,メキシコ,ギリシア,ポルトガル,スペイン,ユーゴスラビアの計 10ヵ国・地域が新興工業諸国 Newly Industrializing Countries; NICSと定義された。当初 10ヵ国・地域は,輸入代替型の工業化を進めていたが,その後輸出指向型の工業化を推進し,世界平均を上回る高度成長を遂げた。1988年の主要国首脳会議(トロント・サミット)で,台湾と香港を独立国と認めていない中国に配慮し,さらに第2次石油危機以後も経済成長著しい韓国,台湾,シンガポール(→アジアNIES)と経済的苦境に陥った国とに分かれたことを考慮して,新興工業経済地域に改称した。

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知恵蔵の解説

新興工業経済地域

石油危機の影響で世界経済が不況下にあった1970年代以降に工業品の輸出を急増させた発展途上国。こうした現象に最初に注目した経済協力開発機構(OECD)は、79年に、(1)貿易の自由化や輸出加工区(EPZ)などをてことする輸出指向工業化政策を採用し、(2)製造業品の輸出を急増させ、(3)生産と雇用に占める工業部門の比率を拡大させ、及び(4)1人あたり国民所得の先進工業国との格差を縮小させた国を新興工業諸国(NICS:Newly Industrializing Countries)と定義し、韓国、台湾、香港、シンガポールなどの10カ国を挙げた。その後、88年6月に開催されたトロント ・ サミットで、台湾や香港を独立の「国家」と呼ぶのは不適切であるという中国に対する政治的配慮が表明され、また、NICSにおける成長率格差の拡大を反映して、NIESという用語が使用されるようになった。

(室井義雄 専修大学教授 / 2007年)

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