NIES(読み)にーず

日本大百科全書(ニッポニカ) 「NIES」の意味・わかりやすい解説

NIES
にーず

新興工業経済地域newly industrializing economiesの略称。1960年代ころから急速な工業化によって経済発展を遂げつつある国や地域をいう。シンガポール香港(ホンコン)、台湾、韓国(大韓民国)、メキシコブラジルなどをさす。当初NICS(ニックス)(新興工業国)とよばれていた。このうち、メキシコ、ブラジルなど中南米の国は、豊富な天然資源と国内市場をバックに、輸入代替工業化を推進したものの、輸出はかなりの部分を一次産品に依存し、1980年代に入って経済成長が鈍化した。これに対して韓国や台湾などのアジアNIESは、天然資源が乏しく国内市場が狭いというハンディを克服し、質が高く豊富な労働力を背景に輸出指向的工業化を推し進め、1980年代にかけて高い経済成長を達成した。

 アジアNIESの輸出は、1960年代から70年代前半にかけての、衣類、雑貨、繊維などの非耐久財や労働集約的中間財を中心にした輸出構造から、70年代後半から80年代にかけての、家電製品、鉄鋼船舶乗用車などの資本集約的中間財や耐久消費財を中心にした輸出へ構造変化を遂げながら拡大、各国の高度経済成長を支えた。1980年代に一時国際競争力に陰りが生じたこともあったが、90年代に入って輸出構造の高度化をさらに推進し、他方ではサービス産業への構造転換を強めて、経済成長を持続してきた。しかし、1997年のアジアの通貨危機によって経済混乱におちいり、98年は大幅なマイナス成長となった。

志田 明]

 その後、経済混乱から立ち直ったが、2000年代に入るとNIESということばはあまり使われなくなり、人口、経済規模がより大きく、経済成長が著しいブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字をつなげたBRICsが注目されるようになった。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「NIES」の意味・わかりやすい解説

NIES
ニーズ

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