改訂新版 世界大百科事典 「双堂」の意味・わかりやすい解説
双堂 (ならびどう)
前後に2棟の堂を接続し,一つの空間を構成した古代の建築。古代建築では部材や構造上の制約から,梁間(はりま)を極端に大きくできないので,比較的短い梁で大空間をつくるための工夫であるが,両方の軒先の接触線に大きな樋(とい)を通し,雨が漏らないようにした(法隆寺西院食堂,細殿など)。また,仏の聖なる空間と人が礼拝するための空間とを別構造でつくって接続し,一つの機能の仏堂としたり(東大寺法華堂),神の夜の御殿と昼の御殿に使い分けるもの(宇佐八幡宮本殿)もあり,後者の延長上にあるものは,平城宮内裏や地方官衙にもみることができる。なお密教における常行三昧堂と法華三昧堂のように,2棟を離して建てて渡廊(わたりろう)でつなぐものは〈担い堂〉と呼ばれる。
執筆者:沢村 仁
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