反返(読み)そりかえる

精選版 日本国語大辞典 「反返」の意味・読み・例文・類語

そり‐かえ・る ‥かへる【反返】

〘自ラ五(四)〙
① 物が後ろの方へそり曲がる。ひどくそる。
※今鏡(1170)六「そりかへりたる沓はきて、勾欄のほこ木の上あゆみ給ひ」
② 後ろの方へ体をそらす。そっくりかえる。ふんぞりかえる。威張っているさまや大笑いのさまにいう。
※百丈清規抄(1462)一「此時書記は不拝ぞ。そりかへりてもいぬぞ。ちっと腰をかがめよぞ」
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉三「あるなら云って見ろと云ふ権幕で主人は反り返る」

そり‐かえり ‥かへり【反返】

〘名〙
① そりかえること。
② (「そりがえり」とも) 能の舞のしぐさの一つ。身をそらしながら左足を軸にして、ぐるりとまわるわざ。
申楽談儀(1430)よろづの物まねは心根「そりかへりは、腰と膝とにて返る也」
狂言記見物左衛門(1700)「すまふ四十八手とはいへども、くだけば、八十八手も、百手にもとか、かものいれくび、水車、そりかへり」

そっくり‐かえ・る ‥かへる【反返】

〘自ラ五(四)〙
① からだがうしろの方にそり曲がる。また、物が反対側にそり曲がる。そりかえる。
富本・艷容錦画姿(新お七)(1809)「ひっくりかへって、そっくりかへった」
② いばって、相手を見下すようにして体をうしろに反らせる。自分を偉い人間と思っているさまを態度に表わす。
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「火をくれた木頭(もくず)反身(ソックリカヘ)ってお帰り遊ばす」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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