入学するための選抜試験が激化した状況を指す。1960年代にマスコミによって使用され,一般に定着した。その要因としては,第1次ベビーブーム世代の進学時期に該当したこと,高等教育の大衆化が始まり高校および大学への進学率が急上昇したことなどが挙げられる。特定の大学への入学を目指す競争の激化により生徒の負担が増加し,また高校の授業が入試対策中心となるなど弊害が指摘されるようになった。このような過度な受験競争の緩和を目的として1979年(昭和54)に共通一次試験が導入されたが,結果的には偏差値に基づく国立大学の序列化を助長するなど,受験産業とともに,偏差値を重視した受験戦争を一層過熱させた。1990年代以降,大学入試センター試験の導入,推薦入学やAO入試など選抜機会の複線化(日本)の進行や,いわゆる「大学全入時代(日本)」の到来などにより大学への入学機会自体は大幅に拡大したものの,特定エリート大学への進学熱は依然として衰えていない。
著者: 黒川直秀
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報
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