日本大百科全書(ニッポニカ) 「AO入試」の意味・わかりやすい解説
AO入試
えーおーにゅうし
大学の入学試験方法の一つ。学力試験を課さず、高等学校における成績や調査書の審査をもとに、小論文や面接などで入学の可否を判断する選抜制度。AOは入学事務局を意味するアドミッション・オフィスadmissions officeの略である。適性や能力、意欲や関心を重視し、学習履歴や目的意識をもった学習計画などを評価するため、一芸入試ともよばれる。試験方法の明確な定義はなく、各大学がそれぞれの規定に従って試験を行っており、日本では多くの場合、毎年8月~10月ごろに志願者を募集し、書類審査とともに、面接、小論文、プレゼンテーション、討論、実技、口頭試問などにより合否が決定される。一部の大学では、学力試験や大学入試センター試験の成績を合否判定に加えるケースもある。文部科学省によれば、2013年度(平成25)の大学入学者総数60万4648人のうち、AO入試による者は、全体の8.6%にあたる5万2302人。国公立大学では全体の3%以下(3207人)であったが、私立大学では10.3%(4万9095人)を占めている。
AO入試は1990(平成2)年に慶応義塾大学の総合政策学部・環境情報学部が全国で初めて導入した。2000年度に導入校が急増し、この年はAO入試元年といわれた。その後、私立大学を中心に広がり、入試制度における学力偏重を改めるための一つの方策として採用する傾向が強まったが、大学生の学力低下の一因であるとの指摘もある。
[編集部]