アドミッション・オフィス(AO)入試 学力重視の従来型入試に対し、志望書、高校の調査書といった書類審査や、面接、グループ討議などを重視しながら受験生の能力や適性、学習に対する意欲や目的意識などを総合的に評価する選抜方法。米国が本場で、日本では1990年度に導入した慶応大が先駆け。文部科学省の調査によると、2014年度は国立46校、公立23校、私立469校が実施している。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
大学の入学試験方法の一つ。学力試験を課さず、高等学校における成績や調査書の審査をもとに、小論文や面接などで入学の可否を判断する選抜制度。AOは入学事務局を意味するアドミッション・オフィスadmissions officeの略である。適性や能力、意欲や関心を重視し、学習履歴や目的意識をもった学習計画などを評価するため、一芸入試ともよばれる。試験方法の明確な定義はなく、各大学がそれぞれの規定に従って試験を行っており、日本では多くの場合、毎年8月~10月ごろに志願者を募集し、書類審査とともに、面接、小論文、プレゼンテーション、討論、実技、口頭試問などにより合否が決定される。一部の大学では、学力試験や大学入試センター試験の成績を合否判定に加えるケースもある。文部科学省によれば、2013年度(平成25)の大学入学者総数60万4648人のうち、AO入試による者は、全体の8.6%にあたる5万2302人。国公立大学では全体の3%以下(3207人)であったが、私立大学では10.3%(4万9095人)を占めている。
AO入試は1990(平成2)年に慶応義塾大学の総合政策学部・環境情報学部が全国で初めて導入した。2000年度に導入校が急増し、この年はAO入試元年といわれた。その後、私立大学を中心に広がり、入試制度における学力偏重を改めるための一つの方策として採用する傾向が強まったが、大学生の学力低下の一因であるとの指摘もある。
[編集部]
日本がアメリカ合衆国の大学にならって導入した,一般的な学力試験によらない入学者選抜方法の一種。アメリカの大学では一般的に個別の筆記試験は行わず,SATや高校の成績(GPA),小論文,面接,推薦状等の多様な観点から入学者を選抜するが,このプロセスに教員はほとんど関与せず,専門の事務部門であるアドミッションズ・オフィス(アメリカ)(入学オフィス(アメリカ))が従事する。日本に導入された類似の方法による入試がAO入試と呼ばれているが,実態としては推薦入試を拡張した入試となっている(ただしAO入試は高等学校長による推薦は不要)。能力・適性を重視し,目的意識や熱意・意欲を重んじる試験形態で,書類審査(志望理由書など),面接,小論文等の選考方法の組合せによって選抜され,オープン・キャンパスでの事前面談や,独自の課題が課される場合もある。一般の入試より選考期間が長く,実施している大学の9割以上が8~10月に出願時期を設定し,合格発表時期は早い傾向にある。
日本では1990(平成2)年度に慶應義塾大学が初めて導入し,2000年度から国立3大学で開始。2015年度は計534大学1329学部で実施された。とくに私立大学で広がっており,AO入試による入学者は10%超(2015年度)となっている。9割の大学で選考時に何らかの学力把握措置を講じるが,推薦入試とならび大学生の学力低下の温床になっているとの指摘がある。大学の経営安定のため定員の早期確保に使われているとの批判もある。このためAO入試自体の廃止や,学生の学力確保のために入学前教育等の措置をとる大学もある。
著者: 齋藤千尋
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報
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