改訂新版 世界大百科事典 「可測集合」の意味・わかりやすい解説
可測集合 (かそくしゅうごう)
measurable set
Rをユークリッド空間とする。Rにおける面積や体積の概念の拡張であるルベーグ測度が定義されている集合をルベーグ可測集合という。ルベーグ可測集合の全体をMと書くことにするとMは次の性質をもつ。
(1)空集合φはMに属する。
(2)A∈Mならば,その余集合R-A∈M。
(3)A1,A2,……,An,……∈Mならばそれ
らの合併集合A=
この三つの性質から次のようなことが導かれる。
(4)全空間RはMに属する。
(5)Mに属する集合の合併,差,共通部分を作る演算をたかだか可算無限回行って得られる集合はMに属する。一般の空間Rの部分集合の族Mが上の(1)(2)(3)をみたすならば,Mを定義域とする測度を定義することができる。このようなMが与えられたとき,これに属する集合を可測集合ということがある。現代の測度論は,このような一般の空間で構成される。
執筆者:伊藤 清三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報