台渡里官衙遺跡群(読み)だいわたりかんがいせきぐん

国指定史跡ガイド 「台渡里官衙遺跡群」の解説

だいわたりかんがいせきぐん【台渡里官衙遺跡群】


茨城県水戸市渡里町にある古代の官衙遺跡とそれにともなう寺院跡。指定名称は「台渡里官衙遺跡群 台渡里官衙遺跡 台渡里廃寺跡」。県の東南部、那珂(なか)川右岸の標高約30mの台地北辺に寺院跡は位置し、観音堂山地区と南方地区とからなる。その北方には長者山地区があり、官衙の正倉と考えられる礎石建物群が確認されている。1939年(昭和14)からの断続的な発掘調査により、7世紀後半から10世紀初頭にかけての2つの寺院跡がほぼ明らかとなった。出土遺物は軒瓦(のきがわら)や文字瓦を含む多量の瓦が主体で、とくに観音堂山地区から出土した「徳輪寺」銘の文字瓦と「仲寺」銘の墨書(ぼくしょ)土器が注目され、規模や配置などから地区を移転して建て替えたことが推定された。この寺跡は常陸国(ひたちのくに)那賀郡衙に関連する寺院だった可能性が高く、関東地方における初期古代寺院の造営から廃絶にいたる過程をよく示していることから重要とされ、2005年(平成17)に国の史跡に指定された。また、2011年(平成23)には官衙遺跡が追加指定され、役所跡と寺院跡が複合した古代都市空間の全容解明が期待されている。JR常磐線ほか水戸駅から車で約15分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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