改訂新版 世界大百科事典 「合歓塩」の意味・わかりやすい解説
合歓塩 (がっかえん)
雅楽,舞楽,管絃の曲名。唐楽。太食調(たいしきちよう)。管絃で奏されるときは《合歓塩》の名で,舞楽として奏されるときは《太平楽》の急の章に用いられ,舞楽の《合歓塩》という曲はない。古い記録によれば,合歓の楽は五音(ごいん)がよく整い,歓喜の声が備わっているのでこの名があるという。管絃のときは早四拍子,拍子16の中曲。舞楽のときは早四拍子,拍子24で三べん繰り返す。さらに,舞人が入手(いるて)を舞って降台するときにも,重吹(しげぶき)と称して,急の章をもう一度演奏する。舞楽《太平楽》は,《太平楽》という楽曲をもたない,いわば寄せ集めの合成曲である。つまり,序破急の舞に適応する曲を集めて一曲としたもので,序にあたる道行に《朝小子(ちようこし)》(延四拍子,舞人は鉾を持って出手(ずるて)を舞う),破に《武昌楽(ぶしようらく)》(延八拍子,拍子20,鉾を持って舞う),急にこの《合歓塩》(早四拍子,拍子24,太刀を持って舞う)が用いられる。なお,管絃のときと,舞楽のときとでは終りの奏法が異なる。
→太平楽
執筆者:加納 マリ
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報