同文通考(読み)ドウブンツウコウ

デジタル大辞泉 「同文通考」の意味・読み・例文・類語

どうぶんつうこう〔ドウブンツウカウ〕【同文通考】

江戸中期の文字研究書。4巻。新井白石著。宝暦10年(1760)刊。漢字仮名国字などの成立沿革などを体系的、実証的に研究したもの。文字考。書契文談。

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精選版 日本国語大辞典 「同文通考」の意味・読み・例文・類語

どうぶんつうこうドウブンツウカウ【同文通考】

  1. 江戸中期の語学書。四巻四冊。新井白石著。新井白蛾補。正徳年間(一七一一‐一六)成立。宝暦一〇年(一七六〇)刊。漢字・神代文字・仮名・国字など和漢の各種の文字の起源・沿革などについて概説したもので、体系性・実証性をそなえる。文字考、毫品記、書契文談とも。

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世界大百科事典(旧版)内の同文通考の言及

【新井白石】より

…歴史では各大名家の事跡を系譜的に述べた《藩翰譜》,摂関政治から家康制覇に至る間の政治の変転を論じた《読史余論》,神話に合理的解釈を試みた《古史通》があり,地誌には蝦夷地,琉球の最初の地誌というべき《蝦夷志》《南島志》《琉球国事略》のほか,イタリア人宣教師シドッチの尋問によって得た知識に基づく《西洋紀聞》《采覧異言》は,鎖国下に世界事情を紹介した著書として早期に属する。彼は言語・文字の研究でも先駆者で,《東雅》は国語の名詞の語源とその変遷の考証,《東音譜》は五十音の音韻の研究,《同文通考》は漢字の起源と日本の神代文字,かな,国字などを論じた著述である。白石の文章はとくに和文の叙述に特色があり,その代表作というべき自叙伝《折たく柴の記》は,また同時代の幕政その他についての貴重な史料でもある。…

【国字】より

…冗長になることを避けるには,新字をくふうするのが上策と考えられた。江戸時代までに実用された国字で,一般人の目にも触れたのは,《節用集》の末書や往来の付録に見えるものから考えると,さして多くはなく,新井白石《同文通考》,伴直方(ばんなおかた)《国字考》などで学者の集成して論じたものを総計しても,150種にみたない。しかし平安時代前期の漢字字書《新撰字鏡(しんせんじきよう)》の挙げる小学篇字約400が,古い国字の例だといわれ,これには魚の名や植物の名にあたるものが多い。…

※「同文通考」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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