向淵庄(読み)むこうじのしよう

日本歴史地名大系 「向淵庄」の解説

向淵庄
むこうじのしよう

興福寺大乗院領荘園である。三箇院家抄(内閣文庫蔵大乗院文書)に「向淵庄山内七ケ所内、二階堂方 四十五丁九反八十歩、三十石御講米(中略)十石松林院 負所米七石二階堂方無沙汰(下略)」とある。興福寺喜多きた二階堂にかいどうは預所であろう。正和三年(一三一四)の大乗院御沙汰向淵唯識十講次第(天理図書館蔵)では「勅願唯識十講次第、春季亀山院御願」とあるが、前掲の講米は同講の料足のことであり、向淵庄はその料所となっていたものである。「大乗院雑事記」長禄二年(一四五八)閏正月二五日条には「多田代官進之向淵御講米事、十五石分ハ可沙汰、其余ハ(無カ)沙汰無力云々」とある。また同記同年一一月九日条では「亀山法皇御願向淵御講、於春日但馬屋、自今日両日修之(下略)」とみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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