日本歴史地名大系 「宇陀郡」の解説
宇陀郡
うだぐん
奈良盆地の東南、宇陀山地の一帯を占め、東・東南は三重県、西は桜井市、南は吉野郡、北・北西は山辺郡。
古代の宇陀郡は現在の宇陀郡の大部分を占めるが、早くも「古事記」神武天皇段に「其地より踏み穿ち越えて、宇陀に幸でましき。故、宇陀の
とあるほか巻七、八に、
の歌がある。ほかにも「古事記」神武天皇段に「宇陀の血原」、崇神天皇段に「宇陀の墨坂神」、仁徳天皇段に「宇陀の蘇邇」、「日本書紀」神武天皇即位前紀に「菟田の高倉山」「菟田川の朝原」、垂仁天皇二五年三月一〇日条に「菟田の筱幡」など数多くの地名がみえ、修浄校生貢進啓(正倉院文書)に「于太郡」、「続日本紀」慶雲二年(七〇五)九月九日条に「大倭国宇太郡」、天平二〇年(七四八)の写書所解(正倉院文書)に「大倭国宇郡」、貞元三年(九七八)の県某檜牧地充行状案(東寺百合文書)に「于郡上県」、康平四年(一〇六一)の前加賀守藤原某渡文(同文書)に「大和国宇郡」、「吾妻鏡」文治二年(一一八六)六月二八日条に「大和国宇多郡」などさまざまな表記があった。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報