改訂新版 世界大百科事典 「含銅ケツ岩」の意味・わかりやすい解説
含銅ケツ(頁)岩 (がんどうけつがん)
copper shale
Kupferschiefer[ドイツ]
ドイツ,ポーランド,オランダ,イギリスなどの中部ヨーロッパに分布する,二畳紀の重金属に富むケツ岩。銅をはじめ鉛,亜鉛,銀などの多くの金属が濃集しているが,主として銅を対象に採掘されている。厚さは平均30~50cm。分布面積は60万km2にも達するが,0.3%以上の銅を含有しているのはその1%,鉱石として採掘しうる含有量(銅2~3%ないしそれ以上)をもっているのは0.2%にすぎない。鉱床地域は主としてドイツとポーランドにあり,ハルツ山地南東縁のマンスフェルト地域やポーランドのズデーテン山地は,古くから両国の主要な鉱産地である。含銅ケツ岩は,岩塩やセッコウ層を含む炭酸塩岩層の下底部にあり,ラグーンのような環境で堆積したと解釈されている。このような海に供給された重金属が,硫酸還元バクテリアにより生成され硫化水素と結びついて沈殿したことが明らかにされているが,高濃度の重金属がどこからもたらされたかについては定説はない。
執筆者:佐藤 壮郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報