日本大百科全書(ニッポニカ) 「吸坂飴」の意味・わかりやすい解説
吸坂飴
すいさかあめ
石川県加賀市大聖寺(だいしょうじ)の名物飴。大聖寺から山代(やましろ)、山中温泉に向かう途中の吸坂峠で、寛永(かんえい)(1624~1644)以来つくり伝えられてきた赤飴で、白くさらしたものや、飴8、黒ゴマ1、マムシ粉末1をあわせたゴマ飴もある。赤飴は小桶(こおけ)に流し込んであり、小槌(こづち)でたたき割って口にする。おこし飴の一種と考えていい。吸坂飴の製法は一子相伝で、製法が他国に漏れるのを防ぐため、婿は他村から迎えない掟(おきて)さえあった。また、そのため吸坂峠には番所まで設けたというが、実際は大聖寺藩が吸坂焼の釉薬(ゆうやく)、火加減が漏れるのを恐れたのである。
[沢 史生]