吹込(読み)ふきこむ

精選版 日本国語大辞典 「吹込」の意味・読み・例文・類語

ふき‐こ・む【吹込】

[1] 〘自マ五(四)〙 風が吹いてはいってくる。また、吹く風のために、雨や雪などが内にはいってくる。
※後撰(951‐953頃)春中・五七「さくら花ぬしをわすれぬ物ならばふきこむ風に事づてはせよ〈菅原道真〉」
[2] 〘他マ五(四)〙
① 風が吹いてものを中へ入れる。また、吹いて中に入れる。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉巻外「此頑鈍の心に生命を吹き込み」
② 前もって教えこんでおく。言いきかせておく。いいふくめておく。そそのかす。教唆する。
浄瑠璃・十二段(1698頃)三「耳に御口を差し寄せてふきこみ給へば打ちうなづき」
遊女に贈り物を送る。
歌謡・松の葉(1703)二・あだ枕「誓紙誓文実を見しょに、〈略〉とうから内証ふきこんだ」
レコードテープレコーダーなどに、声や歌、演奏などの音を入れる。録音する。
蓄音機(1922)〈寺田寅彦〉「いよいよ蝋管に声を吹込む段となって」
[3] 〘他マ下二〙 風が吹くときにものを巻きこむ。いっしょにひっくるめて吹く。
※広本拾玉集(1346)二「あはづののをばなが下に吹こめて風に浪こす山おろしかな」

ふっ‐こ・む【吹込】

(「ふきこむ(吹込)」の変化した語)
[1] 〘自マ五(四)〙 =ふきこむ(吹込)(一)
落語・蛇の目の傘(1900)〈初代三遊亭金馬〉「傘を便(あて)にしたから柄洩りがする、破れたとこから吹っこむ」
[2] 〘他マ五(四)〙
※落語・素人芝居(1896)〈四代目橘家円喬〉「其蝋燭の火を吹込(フッコ)めば好い」
※いさなとり(1891)〈幸田露伴〉七五「彦右衛門に充分吹っこみ、夫婦して妾を大切にすべきに、御機嫌とれば好い事として」

ふき‐こみ【吹込】

〘名〙
① 風などが、内に吹き込むこと。また、そのもの。
② 遊女に贈り物をすること。
評判記色道大鏡(1678)一「吹込(フキコミ)傾城音物(いんぶつ)を送る事なり」
③ レコード、テープレコーダーなどの録音機に音声などを収録すること。
※蓄音機(1922)〈寺田寅彦〉「吹込みが終った文学士は」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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