味舌庄(読み)ましたのしよう

日本歴史地名大系 「味舌庄」の解説

味舌庄
ましたのしよう

千里丘陵から安威あい川にかけて広がる沖積地に設けられた庄園で、甘舌・真舌とも書く。摂関家渡領であるが領有関係は複雑。仁安三年(一一六八)正月二二日の法眼和尚田地寄進状案(勝尾寺文書)に「摂津国味舌庄内田壱町事、右件田者彼庄佃也(中略)所奉施入勝尾寺御仏供料也」とみえるのが早く、同年七月一六日に叡山妙香みようこう院が慈徳じとく(跡地は現京都市山科区)領味舌庄下司所に宛てて、勝尾かつお(現箕面市)施入の仏供料田一町への万雑事・奈良春日社所役などの免除を命じている(「妙香院僧正下文案」同文書)。妙香院は藤原道長の祖父師輔の、慈徳寺は道長の姉東三条院詮子(円融天皇女御)の御願寺で、本所が妙香院、領家が慈徳寺と考えられる。鎌倉前期のものとみられる妙香院庄園目録(華頂要略)には味舌庄と伊賀国柏野庄を合せて七〇余石の年貢とあり、妙香院領は摂関家渡領のうちに含まれ、その年貢分が妙香院にあてられていたと考えられる。妙香院領内の勝尾寺仏供料田については、承安五年(一一七五)三月三〇日付の検校法眼房政所下文(勝尾寺文書)にも、公文助真の押妨に対し、妙香院法眼房が慈徳寺に停止を命じたことがみえ、その後も御使経雲の不法侵害に対し、勝尾寺側は妙香院にその善処方を訴えている(年欠「勝尾寺住僧等解案」同文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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