呻吟ふ(読み)ニヨウ

デジタル大辞泉 「呻吟ふ」の意味・読み・例文・類語

によ・う〔によふ〕【呻吟ふ】

[動ハ四]
苦しそうにうなる。うめく。
「あくる日まで頭痛く、物食はず、―・ひふし」〈徒然・一七五〉
詠歌がうまくできず悩む。苦吟する。
「歌を―・ひをる程に」〈落窪・二〉

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精選版 日本国語大辞典 「呻吟ふ」の意味・読み・例文・類語

によ・うによふ【呻吟】

  1. 〘 自動詞 ハ行四段活用 〙
  2. うんうんうなる。うめく。
    1. [初出の実例]「却くに随ひ、先の如く復(さけ)び呻(ニヨ)ふ也〈類従本訓釈 呻 爾与フ〉」(出典:日本霊異記(810‐824)中)
    2. 「あくる日まで頭いたく、物くはず、によひふし」(出典:徒然草(1331頃)一七五)
  3. 歌を詠み悩む。苦吟する。
    1. [初出の実例]「少輔、文やらんとて、歌をによひをる程に」(出典:落窪物語(10C後)二)

呻吟ふの補助注記

( 1 )万葉‐三三五六」の「富士の嶺のいや遠長き山路をも妹がりとへば気爾余婆(ケニヨバ)ず来ぬ」の「けによば」を、「け」は接頭語、「によぶ」は呻吟する意とする説もある。
( 2 )従来「によぶ」と読まれて来たがその確証はなく、文明本以下の節用集類には、みな「ニヨウ」とあり、日葡辞書も同様なので「によふ」と清音だったと考えられる。

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