唐詩紀事(読み)とうしきじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「唐詩紀事」の意味・わかりやすい解説

唐詩紀事
とうしきじ

中国、唐代の詩人について、その詩と詩にまつわる話や、小伝評論などを収めた書。宋(そう)の計有功(けいゆうこう)の編。81巻。取り上げられる詩人の数は1150人に及ぶ。その収録する記事はきわめて広範囲にわたり、この書物によって後世に伝わった詩人と作品は甚だ多く、唐詩研究上の重要な資料とされる。なお、元(げん)の辛文房(しんぶんぼう)の編になる唐代詩人の伝記『唐才子伝』は、この書物から多くの材料を得ているとされる。テキストとしては南宋の王禧(おうき)本(1224)を最古とし、明(みん)刊本には洪楩(こうべん)本、張子立(ちょうしりつ)本などがある。

[黒川洋一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の唐詩紀事の言及

【詩話】より

…まず,著と編に分けるならば,《六一居士詩話》を始めとする純然たる自著がもとより多数であるが,詩人・文人が詩について語ったことばを,その著作から第三者が抜粋,編集したもの,たとえば元代の陳秀民の手に成る《東坡詩話》,さらに過去のさまざまの詩話の内容を,みずからの意図するところに従って集成改編した場合として,南宋初に胡仔(こし)の《漁隠叢話》前集60巻・後集40巻があり,南宋末には魏慶之の《詩人玉屑(ぎよくせつ)》21巻がある。つぎに,時間的と空間的とに分けるならば,ある一時代の作品・作者に話題を限定したものとして,宋の計有功の《唐詩紀事》81巻,清の厲鶚(れいがく)・馬曰琯(ばえつかん)共編の《宋詩紀事》100巻がある。空間的なものとしては,一地域,たとえば浙江の詩人に対象を限定した,清の陶元藻の《浙江詩話》56巻などがあげられる。…

※「唐詩紀事」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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