唱劇
しょうげき / チャンクック
朝鮮の伝統歌劇。パンソリの唱法を基本にした歌劇で、1903年国立劇場格の協律社で姜竜脚色の『春香伝』を上演したのが唱劇の産声とされている。パンソリは一つの物語を1人で全役を歌い、語り、演じ分けるが、唱劇は一人一役を原則とし、演劇的な表現を必要とする。そのために台本を必要とし、パンソリよりも会話形式が重要になった。台本は前述の『春香伝』が最初だとする説と、パンソリを集大成した申在孝の『春香歌』だとする説がある。『春香歌』『沈清歌』『興甫歌』などパンソリのレパートリーを共有し、最近は申在孝の『広大歌』『カルチギ打令』などを補訂復活して活性化期を迎えている。韓国では国劇(クツクク)ともいい、国立唱劇団を中心に、1970年代には李真淳が、最近では許圭が意欲的な演出をしている。北朝鮮では民族オペラの確立に活用している。
[金 両 基]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の唱劇の言及
【音楽】より
…日本でも2~3世紀遅れて並行現象が見られ,雅楽や声明など大陸音楽の輸入と消化の時期を経て,日本独自の平曲や能楽そして歌舞伎など新しい民族様式を生み出す時代が後続した。朝鮮半島でも高麗朝の末期に山台戯(仮面劇)が発達し,李朝になると民間音楽の活動がますます高まり,李朝後期にはパンソリが興り,後にそこから唱劇と呼ばれる一種の歌劇が生まれている。[中国演劇][中国音楽][朝鮮演劇][朝鮮音楽][日本音楽] 新しい楽器に焦点を当ててみると,元代に胡琴と三弦が出現した。…
【朝鮮演劇】より
…19世紀後半には[申在孝]によって6曲の台本が整理され,そのうち〈春香歌〉〈沈清歌〉〈兎鼈歌〉〈興夫歌〉〈赤壁歌〉の5曲が伝承されている。20世紀に入ると,パンソリは複数の演者による分唱と配役が試みられ,朝鮮声楽研究会(1931創立)にいたって〈唱劇〉として確立し,〈旧劇〉〈国劇〉とよばれた。
[新演劇]
朝鮮最初の近代的な屋内常設劇場は,1902年12月設立の協律社であり,倡優,妓生(キーセン),舞童などが各種演劇を上演した。…
【パンソリ】より
…朝鮮の民俗芸能の一つで,物語に節をつけて歌うもの。唱劇,劇歌とも呼ぶ。李朝後期,18世紀初め朝鮮の中部以南に生じた。…
※「唱劇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」